広告は、商品・サービスを効果的にPRしなければなりません。そのため、通常はマイナスのことは横に置いて、プラス要素ばかりを訴求する美辞麗句の並ぶ広告が完成します。
しかし、こうした広告の性質はすでに多くの人たちに知れ渡り、なかなか広告はメディアとして信用を得られなくなりました。
今回は広告活動時の「ネガティブ要素の扱い方」から、それらをプラスに転化する方法を考えてみます。
広告は良いことだけを伝えるべきか?
広告の目的は、商品あるいはサービスを効果的にアピールし、
販売あるいはお問い合わせなどに繋げることです。
私どもが広告をつくる際は、できる限りポジティブ要素を拾い、
広告の中に取り込み、効果的に伝わる手法を考えます。
しかし、ここで問題になることは、
明らかなネガティブ要素を抱えた商品やサービスをPRする場合です。
こうした場合、下記のような対応が
- 広告内ではまったく触れない
- 正直に伝える
- ネガティブ要素をプラスに転化させる
各々のケースについて、少し検討してみます。
「広告内では全く触れない」について
大抵の広告では、ネガティブ要素に一切触れません。
なぜなら、触れる必要がないからです。
ただでさえ、スペースと予算が限られているのです。
クライアントが許可するはずありません。
ただ、知っていたにも関わらず、そのことを書かないというのは消極的な嘘とも言えます。
そして、最大の問題点は、広告の受け手がそのネガティブな点に気づいた時に起こります。
その方はどのような気持ちになり、どのような行動を取るでしょうか。
すでに広告は真実だけを述べているメディアではないと、
読み手はみんな気がついているのです。
そこで、広告の表現手法に、「あえてネガティブ要素を書く」が生み出されました。
正直に伝える
さて、ネガティブと思われる事柄を正直に伝えると、
いったい、どのようなことが起きるでしょうか。
高い商品なら、「これは高いですよ」と書く。
納期が遅いなら、「お届けは1ヶ月後です」と明記する。
傷物のアウトレット品なら、「キズがあります」と写真を掲載する。
商売を考えれば、こうした情報をお客さんに伝えることには大きな勇気が入ります。
しかし、正直に伝えることにはメリットがあるのです。
ネガティブ要素を書かなかった時よりも、
見込み客の数は減少しますが、
その代わり、購入意欲が非常に高い人たちが集まります。
A.100人の見込み客がやってきて、10人が購入する
B.20人の見込み客がやってきて、10人が購入する。
結果は同じですが、Bの方には販売プロセスにムダがありません。
Bのケースの方が、圧倒的に効率的です。
もちろん、実際はここまで単純比較はできませんが、
見込み客だけをとにかく集めようとすると、結果的に損をしてしまうこともあるのです。
ネガティブ要素をプラスに転化!
さて、ネガティブ要素を伝えた場合のメリットを見てきましたが、
事実をただ伝えるだけでは工夫がありません。
そこで、ネガティブ要素をプラスに転化することを考えます。
ここは正に、私どもコピーライターの腕の見せ所です。
一見すると、マイナスであることも、
視点を変え、表現を考え、しっかりと理由を説明することで、
お客さんにとってプラスであることが伝えられます。
例>>
高額商品で「これは高いですよ」と伝える場合
値段が高い理由を洗い出して、値段以外の価値を提供する
- 希少価値がある
- 素材が違う
- 耐久性がある
価格が高いと感じる理由は、
競合商品との比較から生まれる感情です。
徹底的に競合商品との違いをアピールしましょう。
また、自ら「これは高いですが…」という文脈を使うことで、
思わぬ信頼を生む効果もあります。
納期が遅く「お届けは1ヶ月後です」と明記する場合
これも1の値段が高い場合と同じです。
なぜ、納期が遅いのか?をしっかり明記します。
- 職人の手作り
- 素材に限りがある
- 月に1度の仕入れによる直輸入商品(その代わり安価)
基本的に、納期が長いからには、
時間の対価を示す必要があります。
時間→商品の質が高い(オーダーメイド)
時間→価格が安い
傷物のアウトレット品の写真を掲載
特にアウトレットや中古品の場合、
写真には細心の注意を払うべきです。
傷や汚れなどは、出来る限り詳細に掲載しましょう。
また、これらの情報は文章ではなく、絶対に写真を使ってください。
たとえば、
”天板の隅に目立たない3cm程度の傷があります”
と書いてあったとします。
しかし、”目立たない”これらは主観に過ぎません。
商品が届いてから、説明と違う!とクレームが入ることもあります。
ですので、出来る限り”売り手”と”買い手”のギャップを小さくするため、
事実を伝えることが出来る写真を使うべきなのです。
広告は、商品を売ることはもちろんのこと、
取引後のトラブルを防ぐことも重要だといえます。
最後に
上記の例は、何にでも適応できるわけではありません。
が、広告作成時のヒントになるかもしれません。
マイナスをプラスに転化することが出来れば、広告成果はきっと驚くほど良くなります。
また、ネガティブ情報をあえて伝えることは、広告主の誠実さを示すことです。
これからの広告を考える上で、避けては通れないテーマだと思います。