ハードワークをこなし、
予定どおりに休暇をとった。
行き先は、もちろんカリブ。
これで3度目だ。
タラップを降り、
例のビーチまでタクシーを飛ばす。
車窓からの景色がみるみる青に染まるころ、
クルマを止める。
「お客さん、お釣りですよ」
「とっといてくれ。奥さんか子供に
チョコレートでも買ってあげなよ」
浜辺に腰を下ろすと、
目の前にさまざまなブルーの彩りが
私を出迎えてくれる。
バーでチョイスした冷えたカリブーンで喉を潤す。
ホワイトラムの香りが夏の風景を揺らす。
フルーツの味わいが深い安堵感に誘う。
程よい炭酸の刺激。
透明な氷が解けてゆくゆらぎ。
都会を忘れさせるには格好の幻覚だと思った。
強すぎる光線が、かえって心地よい。
椰子を吹き抜ける風の音がカラダを通り過ぎてゆく。
ゆったりと過ぎる午後。
寄せては返す浜辺は眠りさえ呼び寄せる。
これは、日頃の疲れを癒やす、
自分へのごほうびなのだ。
心身から街の気配が消え、
全身がまるごと自然のなかに溶けてゆく。
ボクは思った。
人はこんなにもおおらかになれるものなのか…
ちょっと酔ったかな?
私は冷えたカリブーンを、
再び口にはこぶ。
という、割と長い白昼夢を見たのだが、
ボクがこの風景とか感覚をどこで仕入れたのか、
全く分からない。
ボケたとか、イカレたとか、
そういうことではないと思うけれど 汗