幽霊なんて、ちょっとおおげさな。
タイトルに偽りあり、かも知れません。
さて、事の発端ですが、
先日、カバンをゴソゴソとやってると、
キャッシュカードがないことに気づいた。
いつもの定番の位置にカードが収まっていない。
慌てた。
背広のポケットとか机の引き出しとか、
アチコチチェックしたが、
カードがどこにもないではないか。
顔をしかめて、うーんって考えた。
近々の行動から思い起こし、
次第に遡ることで、
ようやく半月前のあの日が、
あやしいと判明した。
それは横浜のホテルに泊まったとき。
確か、決済にカードを使ったなぁとの、
記憶にたどり着く。
以降、カードは一切使用していないので、
早速ホテルに電話を入れてみる。
名前と宿泊日を告げ、
カードを預かっていないかと尋ねるも、
「残念ながらありません」とつれない回答。
あーあ、とため息を吐きながら、
カード会社に紛失の連絡を入れようとした。
と、奥さんが「あった!」と叫んだね。
「どこにあったの?」
「シュレッターのごみの中」
「んー?」
「一体なにやってるのよ!」
わーっ、激しく怒っていましたね。
まあ、それはそうだろうよ。
すかさず、「すいません」、
で、「お騒がせしました、夕飯おごります!」
で、事はカンタンに済んだのだった。
一件落着。
で、問題はこのホテルの連絡先を調べるために、
検索したときだった。
いつもは、ホテルのポータルサイトで予約するので、
個別にホテルを調べたりはしない。
このとき、検索次候補に
「ホテル○○ 幽霊」と表示されることに気づいた。
検索次候補つて、複合キーワードに多く使われる単語。
で、例のカード紛失のゴタゴタが収束し、
一息ついて、興味津々で再び、
そのホテルの次候補の中身を調べてみた。
と、結構あやしい記事がヒットする。
体験談あり、いわれあり。
(ふーん、そういうもんかね)
半信半疑で、他人事のように眺めていた。
記事の内容はよくある話で、
ホテルがあるその場所が、昔は病院だった。
相当の人が幽霊に遭遇している。
まあ、そんな内容が記されていた。
あくまで記事のチェックという程度に
飛ばし読みをしていた訳。
がである。
ふと突然に、稲妻のように、
あるでき事を思い出してしまったのだった。
それはほぼ忘れかけていたのだが、
「ウ~ン?」とリアルに記憶が蘇った。
というのは、あれはそうですね、
ホテルに宿泊した、
夜中の2時か3時ごろでしょうか?
(突然の話し口調に変わる)
その日は、横浜であれこれ打ち合わせとか、
買い物とか用を足しているうちに、
今日1日では終わらないなぁと、
とりあえず中華街で飯をくって、
ぐったりしていたとき。
で、次の日もまたここまで来るのは
面倒ということで、
そのホテルに予約を入れたのだった。
ホテルは以前にも幾度か利用していて、
外観とか室内とかが結構気に入っていた。
不自然な事は何もなかったし…
で、電光石火の如く思い出したのは、
その日の夜中の事なのだが…
昼間に歩き過ぎ、
動き過ぎて疲れていたので、
寝床が違うとはいえ、
かなりの爆睡モードで寝ていた。
が、私はなぜか突然目が覚めた。
夜中の2時半ごろだったような気がする。
なんだなんだ、
突然目覚めるなんて。
(普段は起きる事なんて滅多にないのだが)
時計をみると先の時間でした。
と、バスルームの方で人の気配がする。
バスルームを歩くような音がしている。
あのユニットバスを歩く独特の
軋む音が響く。
私は奥さんがトイレにでも行ったのかなと、
ふと隣のベッドをみると、彼女がいる訳。
やはり爆睡の様子なんである。
しかしだ、
それでもなんとも思わなかった。
自分も寝ぼけていると思っていたのか、
その事は別に気にも留めず、
結果、再び爆睡してしまったのだ。
朝になっても、特に覚えていないくらい
その事柄は薄い記憶として、
脳裏に留まっていた程度だった。
しかし、カード紛失の件で
このホテルを検索したときに、
幽霊という単語からハタと突然のように、
夜中にあったその事を思い出してしまったのだ。
こういうときって、
どうでもいいような記憶が、
今度は怖さを伴って迫ってくる。
私的にとても気に入っているホテルなので、
近々にもう一度…とも思ったりもしたのだが、
ユーレイに関して、やはりこちらは、
勇気とか根性とかいうものを、
一切持ちあわせていなかった 汗
実はいまでも半信半疑なのだけれど、
真実を追求しようなどという好奇心が、
私には到底芽生えない訳。
ヘタレと言われようが、
ダサいなぁと後ろ指をさされようが、
平気なのである。
だって、
あのホテルで夜中に聞いた
バスルームを歩く人の気配って、
いまじゃ気味が悪くて、
アタマから消えないからね。
という訳で、
サヨナラホテル○○!
と決別宣言するのである。