町田のジャズの老舗「Noise」

 

町田はでかい街である。

人も多い。

新しい建物と古い商店街が混在していて、
猥雑で、なんだかとてもエキサイティングなのである。

街をまるごとつくりかえないところが良い。

できすぎた街ほど居づらいところはない。

近くのたまプラーザとか新百合ヶ丘には隙がない。

その点、隙だらけの町田。

 

ブランド服が目的であれば、それもある。

昼間から升飲みしたければ、そうしたお店もある。

いまだに歩きタバコをしている人がいる。

煤けたバーがいくつも軒を連ねる。

大判焼きだってイカ焼きだって、

探せばあるのが町田の魅力でもある。

 

ボクは学生時代の3年間、

JRの町田駅と小田急の町田駅を使っていた。

その頃は「Noise」はまだなかった。

 

 

まあ、高校時代のボクはジャズに縁がなかったし、

ロックしか知らなかった。

それよりなにより部活の帰りに寄る

JR町田駅前にあった立ち食いそばがやたらにうまかった。

 

そしてJRの町田駅が小田急側に移動してから、人の流れも変わった。

この立ち食いそば屋も移動してしまった。

で、駅付近を2階建てのターミナルにし、新しいビルが建ってテナントが増え、

残った猥雑さをそのままにしたのが町田なのだ。

 

もともと「Noise」はジョルナの建物の中にあってその後に引っ越し、

現在の小田急線の町田駅から数分の雑居ビルに落ち着いた。

 

ここに来る客は若年老齢を問わず、

皆ふらっとジャズを聴きに来るようなラフな人たちが多い。

さすがにいま店内は禁煙になったけれど、

店の前に置かれた灰皿の横では常に数人がタバコをふかしている。

 

コーヒーとジャズとタバコ。

ウィスキーとジャズと瞑想。

ビールもシフォンケーキもなかなかイケる。

 

とてもカジュアルな雰囲気が気に入って、

ボクもたまに仲間にいれてもらう。

 

老いも若きもジャズという共通項があるから、

なんだかこの店は落ち着く。

 

しゃれたクラブハウスサンドではなく、昭和のピザトースト。

カフェ・ラテなんて呼ばず、昔ながらのカフェ・オーレ。

 

この町田という不可思議な街に、

なくてはならない店のような気がする。

 

 

 

ジャズ喫茶「ノイズ」のこと

 

町田にノイズというジャズ喫茶があって、

でかけるとちょくちょくコーヒーを飲みに

行ってたんだけど、

突然なくなりまして、狼狽えました。

唯一の憩いの場だったのに…

 

ここは、昔ながらのカフェオレにピザトーストが食えて、

えっと、カフェラテじゃなくカフェオレ。

ここ大事。

 

いまどきのコーヒーショップはどこへ行っても

チェーン店ばかりで、

カフェオレくださいっていうと、

決まってカフェラテですかって

返答するんだよね。

イラッ!

カフェオレとカフェラテの違いくらい

知ってるよっていうの。

 

そういうんじゃないの。

まあいいや、腹立つなぁ。

 

ノイズは、最初から灰皿が普通に置いてあって、

いまどきの風潮を端っから無視している。

店内の音響はまあまあ。

で、スタンゲッツとか、

とてもいいアーティストがアナログで

店内に鳴り響いていて、

客層もみなラフな中年が多くて、

とてもリラックスできる。

 

コーヒーカップは肉厚のでかいやつ。

だいたい分かりますよね?

で、話しちゃいけないとか、

そんな超マニアの集まる

クソうるさい店でもなくて、

雰囲気は、超カジュアル。

ただ、店のある場所が

ギャルファッションが集まっているビルの最上階。

行きづらかったのは確かだった。

 

ネットで調べたら、店の再開めざして、

クラウドファンディングやっていた。

頑張って再開して欲しい!

下北沢の1号店もすでにないし、

やはり時代の趨勢なのかねぇと、

感嘆ひとしきり。

 

にしても、町田のノイズがオープンしたのが、

1980年だから、

なんだかんだで40年弱生きながらえてくれた。

また、あのピザトーストが食いたい、

あのカフェオレが飲みたい、

で、あのパイプ椅子で、ジャズが聴きたい。

 

最近では、こんなことばっかり言っているオヤジのこと、

エア読めないとか、

ワガママとか、

遅っくれているとかってよく見聞するけれど、

他人の青春をバカにする権利は誰にもないから、

放っといくれっていうの!