神奈川、天空の丘

海岸線の長い湘南だが、

葉山、鎌倉、江ノ島、茅ケ崎を過ぎて馬入川を渡ると、

平塚、大磯、二宮と続く。

このあたりは割と地味な印象を受ける。

海岸沿いは西湘バイパスがどんと横たわっているし、

大磯や二宮は市ではなく町だけあって、

人口も少なく、静かでのったりとしている。

 

大磯は、吉田茂がこの地に住んだことから、

一躍有名になった。

その旧吉田茂邸は、いまでも健在。

国道一号線横の松林の間にどんと存在している。

もちろん、見学もできる。

 

その大磯町の背後に鎮座しているのが、高麗山。

この一帯は湘南平と呼ばれている。

背後の平塚は延々と平地が広がっっているので、

この高麗山だけが飛び出しているように思える。

いわば、神奈川の臍ともいうべきでっぱりで、

不思議なその地形は存在感がある。

 

古くは信仰の山だったそうだが、

いまは電波塔としての役割が強い。

東京タワーからの電波を受け、

神奈川の山間部へUHFを飛ばす。


てっぺんまで登ると、

と言っても車で行けるけど、

程よく整備された公園になっていて、

展望台や、売店もある。

展望台の上のほうには、

鍵のモニュメントがあり、

まあ、愛の誓いなのでしょうかね、

そんな約束を交わしたふたりの鍵がね、

ぎっしりとぶら下がっている。

若い人っていいねぇ。


ここからの景色はなかなかで、

遠く伊豆半島から富士山、

眼下には湘南の海岸線が一望できる。

横浜方面はランドマークタワー。

振り返れば、神奈川の丹沢山塊、

北東の方角には東京タワーやスカイツリー、

新宿の高層ビル群も望める。

 

ここは「関東の富士見百景」、「かながわの景勝50選」、

「かながわの花の名所100選」、「かながわ未来遺産100」、

「かながわの公園50選」、「夜景100選」、

「平塚八景」に選ばれているのだけれど、

平日は人も少なく、

ちょっと世間から忘れられた感がある。

 

そういう意味では、

絶景が拝める穴場である。