田園都市線、新玉川線の二子玉川は、
いつも通過地点でしかなかったので、
変貌するこの街が、
日ごろから気にはなっていた。
先日、小用があり、
久しぶりに改札を抜ける。
ムカシと全く違う街の印象。
二子玉ライズとかいう名前で、
商業テナントとオフィスの複合ビルの他、
近未来的な遊歩道と多摩川沿いにそびえる、
高層マンション群。
人が異常に多い。
悲しいほどに隙がないくらい、
整っている街並み。
この日は、中央のパティオに、
メルセデスの新車が6~7台展示されていて、
人目を惹いていた。
ライズにいての第一印象は、
皆、歩くのがとても速いこと。
誰もが忙しそうにみえる。
国道246を挟んだライズの対面は高島屋。
ここは古くからある。
館内は高級ブランド店が並んでいる。
店員さんは暇そう。
混んでいるのは飲食店くらい。
或るブランド店に古い友人がいて、
寄ってみた。
そのことを彼に聞いてみると、
まあまあ売れているようなのだ。
ちょっと見では分からないものだ。
やはり東京なんだ、
都会なんだなぁと感心する。
数十年前、
ここから2駅の等々力という所に、
住んだことがある。
とても静かな町で、夏は蛇もカエルも出た。
休日はよく二子玉川まで歩いた。
まだ玉川高島屋と東急ハンズしかなく、
街は閑散としていて、
東京の外れという雰囲気だった。
多摩川の河原に降りると、
掘っ立て小屋の売店もあったし。
その郊外という風情は、いまは全くない。
さて、ここを訪れる数日前、
仕事の息抜きにと、
大山の麓にでかけていた。
空がとても大きく感じられた。
時間がゆっくりと流れているのが、
実感できる。
芝生で寝ている少年、
ベンチでまんじりともせずに、
山を眺めている老人。
大山に陽が沈む頃、
山麓にたなびく薄い紫色の煙が、
幻想的に映る。
しかし、このあたりは、
車がなくては動けないなぁと、
現実に引き戻される。
現在の私の住まいも、車は必需品である。
さて、短期間に巡ったこの2個所が、
私のなかで、
どうしても対比されてしまう。
都会と自然、利便性と不便、
ストレス社会とやすらぎの地、
そして若さと老いということに関して…
永年の年が過ぎてしまった身として、
残りの時間をどこでどのように過ごすか?
こうした問いは、常につきまとう。
まだ仕事をしている現実。
しかし、心身は日に日に衰退しているのだろう。
残された時間も、そろそろぼんやりとだが、
みえてきたような気がする。
一体この先、
何をするために、何処へ。
私的な問いとして、日々頭をかすめる。