連休の5月5日、快晴。
久しぶりに海へでかける。
途中、車窓より富士山がかすんでみえた。
うん まだ雪をかぶっている?
平地はご覧のとおり、もう夏なのになぁ…
そして茅ヶ崎の浜の日差しも強烈だった。
さらに強風。
砂が、目に口に入ってひどい状態に。
サングラスは絶対必須でした。
あとマスクも…
会場に近づくとかなりの人混みとなる。
ステージから風に乗ってゆるい感じで、演奏が聞こえる。
みんなもゴロンとリラックスしてビールなんか飲んでいる。
パラソルやテントがあちこちにひらいて、
海にきたなぁと実感できる。
砂浜を久しぶりに歩くと、かなり足が重い。
歩きづらいけれど、
ロケーションの良いところを探すために、
あちこちをウロウロする。
にしても風がうるさくてすべてが聞きづらい。
マイクに風の音が混じっている。
まだ知らないバンドが演奏しているので、
寝転がって久しぶりの海をずっとながめる。
このイベントは、情報通の知人が教えてくれた。
あまり大々的に宣伝もしていないので、
ボクも以前は知らなかった。
今日のトリは、ブレッド&バター、
そして大トリが南佳孝さん。
全国区だけど、とりわけ湘南の人気ミュージシャンとあって、
年齢は高めの根強いファンが目立つ。
タトゥーを入れた70過ぎと思われるおばさんが、
ビール缶を片手にステージに上がって踊っているし、
不思議なレゲェのような服に身を包んだサングラスのおっさんが、
ムームーをひらひらさせたおばさんと抱き合っていたり、
なんだかよく分からない空気の中で、
ボクは「自由」というキーワードがアタマに浮かんだ。
あいかわらず富士山がかすんでみえる。
遠く伊豆半島のほうまで見渡せるロケーション。
沖に烏帽子岩、トンビが強風をコントロールして、
私たちの頭上でホバリングしながら、
会場を見下ろしている。
空も海もとても良い色をしている。
とにかく、いまここでボクは、
少なからず、自由を満喫しているのではないか。
そして、自由についてのつまらない定義みたいなことを
考えるのをやめた。
待ち合わせた知人とは、
ステージはそっちのけで話し込み、
時間は刻々と過ぎて、
そろそろという時間になる。
昼にきたというのに、あっという間にもう夕方。
日が傾いている。
そろそろトリがあらわれる頃だ。
ボクたちは場所を移動し、
ステージが垣間見える場所を確保するため、
ステージ裏の垣根の隙間をゲットする。
会場から異様な熱気が伝わる。
ブレッド&バターのふたりが登場した。
地元茅ヶ崎の仲間たちとおぼしき、
個性的な面々が最前列に集まる。
(とても不思議な雰囲気の湘南の方々…)
ボルテージは最高となり、
やがてはみんな総立ちとなり、
踊り出す人も。
彼らの人気は絶大で、
いつまでもアンコールが鳴り止まず。
(会場の気温が急上昇 笑)
そのうち、
楽屋裏に南佳孝さんの姿がちらちらと見え始めた。
で、ブレッド&バターがステージを去ると、
場の空気を一新するためだろうねぇ、
会場のスタッフが興奮した観客たちを座らせ、
最前線にコーンを置いたりしている。
南佳孝さんがステージにあらわれる。
全く違う空気感が会場に漂うんだよなぁ。
彼がギターのチューニングを神経質にはじめた。
で、ステージの雰囲気も一新したところで、
ボサノバ風の「日付変更線」からスタート。
このうたを聴いているうちに、
この会場が海岸にあることに、なんだか感激する。
そして、ウォークマンが発売された当時、
ボクはグアム島からパラオに飛ぶ飛行機のなかで、
まさにこの曲を聴いていたことを思い出した。
南佳孝さん自身も、街中のハコのライブより、
こうした海のロケーションが大好きなのだろう。
いつものクールで抑揚を効かせた、
そしてシャイな一面もみせながも、
最後はみんなにスタンドアップOKと、
かなりのってくれた。
「モンロー・ウォーク」「スローなブギにしてくれ」まで
披露してくれたのだから…
秀逸な曲、心をさらわれるうた、
海に溶けていくようなメロディー、
風に乗って消えてゆくボーカルの響き。
そして五月晴れの茅ヶ崎の砂浜。
舞台装置は完璧だった!
「いまこの瞬間、ボクは間違いなく自由だ!」
そう感じたボクの感覚は、間違っていない。
いまもそう確信している。