クラプトンを聴きながら
オレはお前にこう話すんだ
その指輪イカしているな!
するとお前はこう言うだろう
だってあなたが買ってくれたんじゃない!
そしてふたりは笑って
肩を抱き合って窓の外を見下ろすのさ
ハシケが岸壁を離れてゆく
あなたその煙草
そろそろ止めたほうがいいんじゃない?
ここもね!と言ってオレの頭を指さす
頭にも良くないみたいよ
さて
オレは新しく買った、初めての東京レーベルのレコードを
お前に見せる
どうしたの?
一体どうしたのよ?
気でも変わったの?
そう言ったきり
お前はずっとずっと海をみつめて
コーヒーカップを握りしめている
どの位の時間が流れたのだろう
勘のいいお前の目には
やがて
涙が光っていた
窓から見える本牧の朝が霞んでいた
街にさようならを告げる日は
ついにやって来た
「じゃあな」
仲間によろしく、と伝えてくれ
振り切るように部屋を出ると
外の風がいつになく冷たく頬を叩く
ホントはオレ、ここにいたいんだ
お前と本牧が好きなんだって言いかけて
朝の港の喧噪に消えていった
東京へ向かう朝の根岸線
窓の外に見える景色に
霞んだ雨が
悲しそうに
お前の涙のように
そう
糸のように
落ちていたんだ
本牧と、それに象徴される 「横浜」 への愛着がしっかり伝わってくる詩ですね。その場所からの離別の情が、澄みわたった秋の空のような哀しみに彩られて、鮮やかに描かれているように思いました。
これは、 「故郷への決別」 という形で表現されたスパンキーさんの自立の宣言でもあるわけですね。
根岸線に乗って向かう 「東京」 が、スパンキーさんの新しい仕事、新しい人生を表現していて、それと対峙するときの不安と決意を伝える詩であると受け取りました。
違いました?
強く印象に残る詩ですね。
町田さん)
本牧は、私の遊んでいた所で、横浜の象徴ともいえる場所なのでセレクトしてみました。
私は横浜の田舎育ち。でも一応浜っ子なので、東京で就職が決まったときは嬉しくもあり、辛くもありでした。
それだけ近くて遠い所が、横浜と東京の心の距離なのかな?と思ったりもします。
いまでも多少この感覚を引きずっていますが、いい加減に疲れるときもあります。
正直しんどい(笑)
コメント、ありがとうございます!