イノチノジカン

崖の上の柵につかまって

下をのぞき込む

削れた赤土の上に溜まった池のなかを

一匹のサカナが泳ぐ

数日前まではなかった池なのに

キミはどこからやってきたの?

あの大雨の日に流されてきたのなら

キミはあの山で泳いでいたのかな

と僕は問うて

ほらっ

池の淵に気をつけなよ!

クチバシが長く

鋭い目をした大きな鳥が

きみの行方を追っている

あぁ

きっとキミはもうすぐ喰われちゃうんだ

そうだ

キミはきっと天から降ってきたんだ

そう思うことにしたよ

いいね

僕はキミのこと

すぐ忘れるよ

いや

いつか山の上を尋ねてみよう

それでいいかな…

僕はこの春の陽ざしが好きだし

この季節の空気はいい薫りがする

キミはきっと天から降ってきたんだよ

僕はね

サカナなんか

大嫌いだ

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