仕事の性格上、
いろいろとアイデアを捻らなければならない。
やっとアイデアがうまれても、
それが仕事上ベターなのかベストなのかは、
どうしても相手次第となる。
自信があってもこればかりは、
結果をみないと分からない。
が、一応社内のベストアイデアとして、
依頼主に提案する。
具体的に、それが企画書であったり
デザインまたはキャッチフレーズ等々、
一応カタチとして表す。
仕事の予算にかかわらず、
私たちも同業者も、常にベストを尽くしている。
なぜなら、予算によってアイデアをひねり出す度合いを
調整するなんて、土台無理だからだ。
とりあえずベストを尽くしてしまうのが、
この職業域に生息する人間の性分なのだ。
よって、苦労したアイデアが採用されると、
とてもうれしい。
悩んだ甲斐があるなぁと、しみじみ思う。
向上心も刺激され、社内的にもいい影響を与えてくれる。
より良いアイデアを捻り出すため、
私たちは過去から現在に至るまで、
それなりのベンキョーと経験と実践を積み、
相応の時間を費やしている。
しかし、仕事の性格上、
そこにビジネスの難しさがつきまとうことも知っている。
思うに、アイデアはまずカタチがないものなので、
どうもそのあたりに問題が隠れているようなのだ。
依頼されたとはいえ、そうそうにモノが動く訳ではないし、
発注と同時に金銭授受が発生する訳でもないのが、
この業界の特徴である。
裏を返せば、こうした仕事の依頼と受注前後に、
双方の思い違いやニュアンスのズレなど、
さまざまなトラブルも発生する。
口約束、曖昧な意味合いのメールなども、
後のもめ事の一因になる。
それは私たちのつくりだすものが、
そもそも実体のないものだからである。
依頼者による評価やその価格などにおいても、
個々の判断によって大きく乖離してしまうことがある訳で、
これは私たちの扱うものが、
面倒な商品であることの証左だ。
アイデアを提案したからといっても、
実はそこに正解はない。
具現化したところで、
ベストとはいえないことも多々あるだろう。
価格においても同様のことが起こる。
では適正価格というものを考えた場合、
それは双方が同意すれば、
それはそれでカタがつくハズなのだが…
諸事情が絡んで、現実は複雑怪奇に進行することもある。
そこで最近よく聞くのが、
仕事を始める前に双方で詳細な取り決めをし、
厳密な契約書を取り交わす例などがある。
アイデアを捻り出すのは、かなり心身のエネルギーを使う。
有限的な時間を費やすので、他の時間を圧迫する。
よって、そこに有益な何かが存在しなければならないと
私たちは次第に考えるようになった。
ビジネスとしてのアイデアは、私たちの意識如何で、
しっかりとその権利を生むハズだ。
だから私たちは日々頑張っていけるのだし、
食べてもいける。
(誰がみても陳腐なアイデアは論外だけどね)
アイデアに対するコスト意識は、
後に続く人のためにも、
しっかり定着してもらいたい事柄である。
「アイデアはタダではない」
当たり前のように思われる方も多々いると思うが、
現実はかなり厳しい。
私の実感だ。
だから経済活動を営む誰もが意識してもらいたい、
いや一度は考えていただきたい、
大切な事柄のように思うのだが。