きょうの短歌

 

 

ひとのゆくみち交差点まじわって秋の日差しに笑えあえたら

 

 

ことばの壁にぶつかって我ひとり立ち尽くすローマのまち寒く

 

 

濃いいろ淡色まだらの秋けしき僕の収穫ひとつ老いたり

 

 

 

きょうの短歌

 

 

雨空にたちのぼる白龍のよういまこの世界いにしえ(古)の如き

 

 

 

柿食えば幼い頃をおもいだすバナナではないパインでもなく

 

 

 

きょうの短歌

 

 

葉が散りてトンボは群れて空を舞う昨日までの陽はつるべおとし

 

 

 

 

きょうの短歌

 

路面電車に揺られてゆく病院父を知らないおじさんと呼び

 

 

きょうの短歌

 

蘇るという言葉を最期まで携えてゆけ僕は信じる

 

 

きょうの短歌

太陽の
味とかおりがすると君
夏のビーチで
わかめラーメン

きょうの短歌

 

 

水底に

深く眠れる葉のように

幸も不幸も

手なずけたなら

 

 

 

 

きょうの短歌

 

じーじーと

鳴く虫とゆく

あぜ道の

空に広がる

白いカゲロウ

 

 

きょうの短歌

 

 

海いろの 

シャツはためいて 

灼熱の 夢 

胸をわた る 

貿易風 

 

 

きょうの短歌

 

ゆく手に 

有り余るひかり

地を跳ねて

夏の夜明けは

ボクの舞台だ