ボクたちはまばたきほどを走りゆく切ないほどの時の旅人
この風のにおいあの日の君がいた僕らはいつか遠い人となり

ボクたちはまばたきほどを走りゆく切ないほどの時の旅人
この風のにおいあの日の君がいた僕らはいつか遠い人となり

令和の世天地不和にて荒れ狂い
宇宙の果てへニュース流るる


父の海はじめての町いにしえを歩く朽ちた軒先ときは止まって


ひとのゆくみち交差点まじわって秋の日差しに笑えあえたら
ことばの壁にぶつかって我ひとり立ち尽くすローマのまち寒く
濃いいろ淡色まだらの秋けしき僕の収穫ひとつ老いたり
雨空にたちのぼる白龍のよういまこの世界いにしえ(古)の如き
柿食えば幼い頃をおもいだすバナナではないパインでもなく
葉が散りてトンボは群れて空を舞う昨日までの陽はつるべおとし


路面電車に揺られてゆく病院父を知らないおじさんと呼び
蘇るという言葉を最期まで携えてゆけ僕は信じる



水底に
深く眠れる葉のように
幸も不幸も
手なずけたなら
