デスペラード
ならず者という意味らしい
19才も終わろうとする頃
カーラジオで初めて聴いた
この歌の虜になった
当時は意味なんて分からなかったけれど
デスペラードだけ聞き取れた
とてもやさしいメロディー
悲しげな歌
運転しながら
寂しさだけが押し寄せてきた
ある事情でみんなとはぐれていたから
話す相手もいなかったし
ガールフレンドとも遠ざかっていったし
この歌も、そんな歌なのだろうと
勝手に解釈することにした
ひとり国道246を西へ
どこかへ辿り着こうとか
そういうものはなかった
雑音だらけのラジオの音にすがるように
宛てもなく走った
ひとりが寂しいんじゃなくて
回りに壁をつくってしまった自分が
とても辛かった
デスペラードの歌詞は
だいたいこうだ
「…おい、そろそろまともに戻ったらどうだい?
…お前の、その気難しさやプライドが
お前自身を傷つけているんだよ
(中略)
…時の流れに誰もが逆らえない
なのにお前はたったひとりで
深い闇のなかをただ歩いているじゃないか
それも、もがきながら
(中略)
…ならず者よ、さあ目を開けて
怖がらないで
…雨降りだって
いつか虹がかかることもあるから
…まだ間に合う
この手を掴めよ
まだ間に合うから」
10代の終わりのあの遠い日々が
その後の推進力になったことに
いまは感謝しているけれど…