不審な訪問者

まあ、自分を客観的に眺めて、割と不審人物の気配が漂っている、と思う。

が、中身はそんなに不審なことは考えてはいない。

たまに、なま暖かい風なんかが吹くと不審なことを考えるが、

そうそう実行に移したりしないのが、おとなというものである。

平日の午後、メシも食ったし、日射しなんかを浴びていると、

眠くなるのだ。で、うとうとしていたりすると、

不意に玄関のチャイムが鳴る訳。

以下の話は、私が奥さんから聞いた体験談を基に、
テキトーにでっち上げた話です。

●不審な訪問者 その1

「どなたですか?」

「あっ、どうも! にしかわです」

「えっ、にしかわ? どちらのにしかわさんですか?」

「にしかわです」

「だから、すいませんがどちらのにしかわさんですか?」

「ふとんの西川です」

ガチャ!

●不審な訪問者 その2

「近くで工事をしている者なんですけれど、ご挨拶にきました。

玄関までお願いします!」

「あっ、そうですか。チラシかなにかですか?」

「いえ、ご挨拶ですので、玄関までお願いします」

「お話はなんですか?」

「いや、玄関まで来ていただかないと」

「だから、なんのお話ですか!」

「チラシをお配りしているんですけれどね」

ガチャ!

●不審な訪問者 その3

「あっ、どうも! あの、通りがかりの者なんですが、

お宅の屋根、めくれていますね?」

「はあ?」

「だから、お宅の屋根が傷んでいると言っているんです」

「それは、ご親切にありがとうございます」

「屋根にあがって見ましょうか?」

ガチャ!

●不審な訪問者 その4

「○○さんのお宅ですよね?」

「はい、そうですが…」

「やっとみつかりました。お宅の家が」

「はあ…」

「いやぁ、あのですね、お宅の床下換気扇に発火の恐れがありまして、

で、こうやって調査をしている次第です。はあはあ」

「ホントですか?」

「もちろん、これは調査に基づいた訪問ですので」

「あっ、はい。で、どうすればよろしいのですか?」

「交換ですね」

「えっ、そうですか。…
…失礼ですが、おいくらかかるのでしょうか?」

「そうですね、30万くらいみていただければ大丈夫です」

ガチャ!

●不審な訪問者 その5

「奥さん、りんご買ってくれんかねー!」

ガチャ!

●不審な訪問者 その6

「となり町に住んでおります○○と申します」

「はい」

「最近、子供たちがとても荒れております。

そのことについて少しお話したいと思いまして…」

「いや、○○さんですか? ちょっといま忙しくてですね」

「あっそうですか。では、失礼ですが、お宅さまはキリストについてですね

どう思っていらっしゃるのか…」

ガチャ!

●不審な訪問者 その7

「あのですね、この辺りの担当をしています○○の佐藤と申します。

いま、光回線の調査をしているのですが、お宅の光回線と××の光を比べてみた結果、

××の会社の回線が圧倒的に安いことが判明しました」

「そうですか、それは主人がよく存じていますので、いまはいいです」

ガチャ!

(再びピンポーンとチャイムが鳴り続けるので、やむを得なくインターホンに出ると…)

「いいじゃありませんよ! 奥さん!どういうことですか!」

再び、ガチャ!

↑の件に関しては、後日私がいたときに同じ奴が来たので、二度と来れないよう話をつけました!

「不審な訪問者」への2件のフィードバック

  1. 「不審な訪問者」、みなどれも面白かったです。
    すべてコントの台本として立派に使えますね。
    会話と会話の “間の取り方” みたいなものがとっても巧みなので、うまい芸人にやらせたら、きっと評判をとることでしょう。
    スパンキーさんに、こういうコメディ作家としての素質があったとは ! !
    やぁ、脱帽です。
     

  2. 町田さん)
    これ、割とホントの話なんです。話そのものは盛っていますが、
    これに近い人たちっていうのが、なんと多いことか。
    悪気のある人、全くない人含めて、みんないろいろなことをしているんだな、
    と感心してしまいます。
    ここらあたりの話は、町田さんもイケルと思います!
    コメント、ありがとうございます。

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