去る6月、富士山が世界遺産に登録された。
これは皆さんもご存知の通り。
富士山は古来より神の山といわれ、崇められてきた。
全国に点在する浅間神社は、そもそもここが発祥なのだ。
ご神体は、富士の山そのもの。
古くから修験者の集まる山でもあったようだ。
日本の自然信仰を語る上で欠かせない、霊峰なのである。
江戸時代には、かの浮世絵師・葛飾北斎が、
富嶽三十六景に赤富士をはじめとする、
富士山コレクションを収めた。
この絵はやがて世界を巡り、マウント富士は日本のシンボルとなる。
続く広重も富士の山を多角的に描いている。
更に遡れば、古くは万葉集にも詠われている。
また、竹取物語にも富士山が登場するというから、
思えば、いろいろと凄い山なのだ。
しかし、富士山は言わずと知れた活火山。
いつ爆発してもおかしくないと言うのが、
いまでは定説になっている。
先日テレビを観ていたら、
富士山の山体崩壊についての解説をしていて、
思わず見入ってしまった。
私は神奈川在住なので、
万が一富士山が噴火すれば、かなり被害を受けると予想される。
思えば2年前の夏、富士の麓の湖でキャンプを楽しみ、
朝方には、おめでたいとされる赤富士の写真を収めたというのに、
なんか不吉。
最悪の場合は、富士山全体が崩れ落ち、
あの美しい姿もなくなってしまう程、様相が変わってしまうと言う。
ええっ、世界遺産だぜ!
どのタイミングで世界遺産が山体崩壊なんだ。
人気が高まる一方で危機が迫っているとは、なんとも皮肉だ。
私の回りでも富士登山経験者やこれから行くぜ、
という人が増えている。
今年の登山者は、去年の1.5倍とも言われている。
が、私はこの時期は、正直怖いなぁ。
富士山の最後の噴火は、江戸時代の宝永大噴火だが、
このときの噴煙は成層圏にまで達し、
江戸の町にも数センチの火山灰が降り積もったという。
震災以降、本当に地球は動いている、生きているんだ、
ということを実感させられる。
その上でシコシコ、いや偉そうに暮らしている私たちだが、
その実、人間なんてとても小さな存在なんだなぁと思い知らされる。
安全・安心などという保証など何処にもないことも分かってきたし…
未来予想に神がかりな話。ガスマスクと倒れない家。
最低限の食料と水と、あと、
未来って、本当にあるのかなぁという不安。
だから、これ以上のリスクは勘弁して欲しいのに、
人間が起こす戦争・紛争の類いは一向に減っていない。
冷静に考えると、これは馬鹿げている話なのだが、
今後、地球のどこかで戦争でも始める奴がいたら、
俺たち人間は、本当の馬鹿なのだ!