藤沢周平の「回天の門」を読みはじめたのが、
かれこれ一ヶ月前だったろうか?
割と分厚い本。ページ数にして、550ページ強といったところか。
それまで、アウトドアのMOOKなどを中心に読んでいたので、
ビジュアル中心に目が慣れたこちらとしては、
ちょっと細かい字が辛い。
しかし藤沢周平の作品は、
私の大好きなストーリー、テンポ、時代感なので、
かれこれ20冊以上は読んでいる。
主人公は江戸時代の武士または町の職人が多いが、
市井のひとばかりで、有名人とか大物は皆無に等しい。
登場する女性がとにかく美しい。
顔立ちだけでなく、心根の美人が多い。
この時代ならではの人の機微が、物語を分厚いものにしている。
と、ブックオフにふらっと立ち寄ったところ、
椎名誠さんの未読の本に出会ってしまい、即買い。
これが枕元に並んでしまって、交互に読んでいる。
「ごんごんと風にころがる雲をみた」というこの本は、
椎名誠さんが世界の果てで体験したものをまとめたエッセイ集。
寝る前に読むにはワクワク度が高く、
面白くて少し良くない。
ある時間でキッチリ本を閉じないと翌日に響くので、
そこら辺のケジメが難しいのだが。
で、昼とか夜の空いた時間は、当初「吉野弘 詩集」をぺらぺらとやり、
感動に浸っていたのだが、あるときお笑いの又吉直樹の本を手に入れ、
冒頭をチラ読みしたところ、かなり面白いので、そのまま続行。
こちらも併読となった次第。
このくらいなら、まあこちらのアタマさえ切り替えれば、
キャパの範囲内なのだが、
あるとき、
先輩の編集者のブログで紹介されていた池田晶子さんの本が無性に欲しくなり、
アマゾンで短絡的クリック買い。
到着早々、こちらにもハマってしまった。
で、吉野弘の詩集はなんというか、ことばの力をみせつけてくれて、
こちらとしてはこうべを垂れるしかない。
後はため息か…
そして又吉の、
いや正確には、せきしろ×又吉直樹の「まさかジープでくるとは」は、
かなり実験的な試みも入った意欲的な本で、
七五調や季語を無視した俳句っぽいものを載せたり、
意味深なエッセイや写真が満載である。
が、やはりこの人たちは光る何かがあるなと、
実感させられる一冊。
で、池田晶子さん。
もう亡くなられてしまった方だが、
哲学を平易な文で語ってくれる希有な才能の人。
さらっと凄いことを書くところが魅力である。
タイトルは「暮らしの哲学」。
この平凡な名前の本に、人生とか時間の観念とか、
無、無限、意識、無意識の話がさらっと書いてある。
しかし、難しいのではなく、深み。
季節感溢れる情緒豊かなエッセイとしても、
異彩を放っている。
さて、これら五冊を併読していると、
たまにアタマのカクテル状態に陥ることがある。
特にビジネス中心の昼間など、
あるセンテンスなどが不意に浮かび上がり、
手が止まることもしばしば。
企画書は完全にストップ、
コピーライティング低迷。
見積もりは間違いだらけ、は良くないけれど。
思うに、これらの併読は、
ある意味「毒」ではある。
仕事を阻害する要因としては、
金欠、恋愛に等しい邪悪な環境を作り出す。
が、
♪やめられないとまらない♪
併読は、ムカシ流行ったかっぱえびせんのコマーシャルの如し。
お陰様で、休日も仕事をしている有様です!