TVドラマも多々あるが、
いま人気の半沢直樹は、いわば銀行員の内紛ものだ。
ちょっと毛色は違うが、あの仁義なき戦いも、
業界の内紛ものと言えるかも知れない。
が、この両者はある意味対極にある。
仁義なき…は、文字通り仁義がない上に、
暴力あり、飛び道具ありのバイオレンス。
勝つために、手段を選ばないところが、すげぇとなる。
これは例えれば、半沢がボクシングで、
仁義…がリアルな殴り合いというところか。
仁義…は、なんでもあり。
まずは興味に釣られて血湧き肉踊るのだが、
こうしたストーリーは、
何故か徐々に飽きられる傾向にある。
長持ちしないのだ。
華々しくも、徐々に飽きてしまう。
なんでもあり、というのは、
要するにすぐ行くところまで行ってしまうのだ。
思うに、物事はルールがあるから面白い。
ルールがシビアな程、
話はドラマチックな展開を生む。
この端的な例が、サッカーだ。
足のみで、戦うからこそ面白い。
なぜなのかは判然としないが、面白いという事実。
バスケの3秒ルール然り、マラソンの42.195キロ然りだ。
ルールを守る不自由さが、実は人を興奮させる。
いろいろな制約のなかで、如何にパフォーマンスを出せるか?
人は、こうしたルール上での勝者に賞賛をおくる。
話を戻して、
半沢…が何故うけるのか、だが、
それは、物語のなかに強固なルールがあるからだ。
例えば、この話を端っから作り替えて、
途中で半沢を狙う殺しのプロが現れ、
さっさと半沢を片付けてしまうとする。
こうなると、このドラマはどうなるか?
これは、思うにフツーの話に成り下がる。
つまんないストーリーとなり、
そこらにありがちなオチが考えられる。
原因は、それがルール違反だからだ。
いまのところは一応のルールに則って話が展開しているので、
ゲームのようなスリリングな展開が魅了する。
人には、元々ルールをつくろうとするDNAが、
本能的に植え付けられているように思う。
そのルールを破るのが、暴力であり、
行き着くところが戦争というところか。
自然界にもルールがある。
ライオンは、腹が減っている以外は、何も襲おうとしない。
熊でも猿でも同じように振る舞う。
ゲームが面白いか否かはルールで左右されるが、
半沢…は、銀行社会だの、社会的地位、そして世間体とか、
そのキツイルールづくりに成功している。
その上で、「倍返しだ」とか「土下座しろ」とか、
結構古くさい台詞を吐く。
だから、やたら人間臭く、
よくよく考えればあり得ないような話にも係わらず、
そこに現代社会のリアリティーがあるように見えるのだ。
私も元同業でしたので、こういうドラマは尻がむずがゆくなり見たくないのですが、家内が妙に関心を持ってみているので、2回ほど一緒に観てしまいました。それをふまえて。
半沢ドラマは「銀行社会だの、社会的地位、そして世間体とか、そのキツイルールづくりに成功している」そのルールを厳守しつつの土下座迫りだからスリリング感がある、というのはそのとおりだと思います。
しかし、もう一つ不文律のルールがあるのでは。それは「上司にはたてつかない」ということ。銀行では行員の不正を防ぐため3年ほどで、転勤、部署替えをする。その都度上司、人事部の裁量がモノをいう。気に食わない上司がいてもジッとしてれば、みんないなくなるのです。そこでは事を荒立てるほうが評価が悪くなる確率の方が高い。しかし本人のストレスは高まる。
じっとがまんの子ストレスは、銀行だけでなくサラリーマンなら多かれ少なかれ持っているでしょう。それを、半沢は悪徳上司にたてついて喝破、倍返ししてしまう・・ここにサラリーマン皆さんは、溜飲をおろし半沢に拍手したくなる。倍返しカタルシスだ。
明示的なルールをスリリングにかいくぐりながら事をすすめ、暗黙ルールをもけちらして「志」を遂げる爽快さ! これがこのドラマの魅力でしょう。
(自然界にもルールがある等々のご指摘も非常におもしろいと思います。この議論はもっと広がりがあるのでは。)
Soraさん)
Soraさんが、元同業ですか? それはちょっと驚きです。私の想像では、元教師かと…
いや、失礼しました!
となると、確かに、業界のことをリアルに知ってらっしゃる訳ですね。
これは、貴重です。
「上司にはたてつかない」ことが、不文律のルール―これは、サラリーマンなら一見当たり前のようですが、
銀行の内部事情をお聞きしますと、だいぶ事情が異なりますね?
Soraさんも相当のストレスと戦ってこられたのでしょう。
となると、半沢直樹ってやはり現実にはあり得ないようなキャラであり、リアリティーをまとった
、ある意味お伽話の世界な訳ですね。
私もある程度はそうだろうなとは思っていましたが、これは確かに、カタルシスですね。
ドラマって、このあたりのギリギリのところを突っ走って、面白みが生まれるようです。
私ごとですが、一応会社なんかをやっておりますので、銀行関係には恩もありますが、
実は恨み辛みの方が多く、特に保証人だの担保だのときっちりリスクヘッジしておいて、
こちらの事業計画より、土地とかのみ信用する。
まあ、他に査定方法がないのは分かりますが、いつまでも持ちのためだけの銀行では駄目だと思っています。
いや失礼! Soraさんに文句を言っている訳ではありませんから 笑
コメント、ありがとうございます。