こころのなかは…

こころのなかは

白くざらざらだし

黒くヌメヌメだけど

万華鏡のように

水の流れのように

形なく姿もない

広く大きく果てしないのに

狭くて暗く湿ってる

僕の

あの過去はもう消えたけれど

そうさ

ひょこり現れて居座って

やはり

君の寝顔はときどき

微笑んでいたことを

思いだしたんだ

あれこれ考えて考えて

考えているうちに

忘れてはいけないと思いだした

君の誕生日ということばが

転がっている

君の誕生日は

ええっと?

もう分からないと

言いかけて

はっと出てきた

こころのなかから

アイディアは溢れて

記憶は溢れて消えて

空っぽの空のように

そして

星のまたたきと

月の壁紙の日の

こころのなかは

空虚というより

潔く澄んで

銀河に羽ばたくことだって

できる訳さ

たとえば

夢が消え去ったあの日

僕は

泣いたけれども

こころのなかは

何度も何度も

頑張って

崩れ落ちないように

壊れないようにって

何度も何度も

やさしく労ってくれたね?

そうして

要するに生きてゆくんだということが

分かってきたような気もするし…

冬の猫のようにまるまるこころ

伸びる草木のように

飛び跳ねるこころ

こころのなかは

もう一つの世界

限りない宇宙

銀河の草原

想い出のおもちゃ箱

きっとそのなかに

幾重に幾重に

忘れられないものが

重なり

消えて

素敵なことも

悲しいことも

浮かんで

やがてなくなって…

だけど消えない

こころのなかに

確かに芽生えたものがあり

明日に繋がる

よろこびの歌もあると

僕はいまでも

思うんだよ

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