火を喰う男は
いつも夢をみるんだ
砂漠の真ん中で
酒を煽ると
いつも泣いて
その女のことを思い出す、とね
遠い昔
その女は海から這い上がると
体中に海草や貝をぶら下げて
その男に会いに来たというのに
「お前は抱けないな」と
その男は火を喰いながら
女を突き飛ばし
そうかねとうなだれ
そうかねと
入り江に飛び込んで
その女は
永遠に
漂う女になったそうだ
火を喰う男は
また夢をみたんだ
海を見下ろす丘で
酒を煽ると
いつものように泣いて
その女のことを思す、とね