笹の葉でつくった
華奢な船に乗り
ぶつかり揺られて
そのうち落ちる
そうやって生きている
そんな生活でいいのかと
尋ねたが
逆に
狂っているな
あんた達と…
好きなものなど
知る術もなく
愛するものは
自分のみ
この夜の月も
あの海の広い心も
あたしだけの為よとか…
そうなのかい?
あんた達って
そんな檻に棲んでいるから
明け方のちょうど4時20分に回るテープの
歪んだ音のその声に眠っている
ひとかけらの真実が
聞けないのさと
なにも見えていない
聞こえないから
恐ろしいんだな
あんた達
それが
この世の本当の姿なんだと
今日も
高台から明日を見渡すと
光る水面に
やはり笹舟のあなた
濡れた姿まで
それがまぶしく
美しく
揺られ流され
午後の日射しのなかに
しまいに
消えてしまったけれど
もう一度
あんた達
狂ってるよって
話して欲しかった
あなたという種族が
昔
確かに生きていた