小舟

小舟に揺られて

白い浜辺に辿り着いた

刺すような日射しで

頭がクラクラする

肌が焼けただれ

水筒の水も切れて

船では

数度、嵐にも遭った

しかし

もう駄目だ、とか

僕は決して思わなかった

だって

僕は産まれてから

ずっと奴隷だったんだ

そこを逃げ出したんだよ

僕にとって

そんな希望に充ちていることはないと

君はそう思わないかい?

8日目の朝

憧れの島影が見えたとき

その美しい島から吹く風が

僕を森へと導いてくれたんだ

白い砂浜へ船を着け

奥へ奥へと僕は進む

青い森さ

「おーい」といくら叫んでも

誰も応えない

なのに

丘にせり出して建っている

小さな宮殿に

やはり

眠り姫と財宝は眠っていたんだ

伝説が目の前にある

そこには

水や果物もたっぷり

溢れるようにあるんだ

こうして僕がみつけた

地図にない

南の果ての

伝説の島だが

もう僕の事は誰も知らないし

このことを教えてくれた老人も

もう死んでしまっていた

だから

この島の事は

誰も知らないのさ

僕はね

ここから

新しい物語をつくろうと

そう思ってね

相変わらず

眠り姫は起きてはくれないが

魔法を解く方法は

必ずいつかみつかるハズさ

僕の自由は

きっといつか

世界を変える

少しづつだけれどね

さあ

だから今度は

君が君の小舟を

探さなきゃね

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