南十字星のみえる浜で
足に絡みついてきたネコと一緒に
宙を見上げていた
キシッキシッと足もとの貝がらが鳴って
砂浜にみちる波はメロゥ
とおい椰子の木のシルエットが
スローモーション映像のように
ゆったりと風にゆれ
貿易風がなめらかに雲を運ぶと
わずかなすき間から月あかりがのぞく
ネコと僕はそろって海のほうを向いていた
波間に魚がぴょんとはねる
そして月のスポットライトが
一隻の木の葉のような船を照らす
ライトアップされた海のステージ
観客が僕らだけの
南の島のローカルショー
ほんの一瞬ではあったけど
それが永遠でもあるかのように
いまも色褪せることがない