それはいつも
突然のできごとのように
つい思ってしまう
ベッドでボクが目を覚ますと
まず読みかけの本が目に入った
夕べ開いた
その本の内容を思い浮かべる
けれどそれは
すべて消えてしまって
なんにも覚えていない
徐々にだが
置時計のカチカチ音が聞こえてくる
手に触れるシーツの感触
うっすらと見えてくる白い壁紙
耳を澄ますと
外に人の歩く気配までしてきた
ああ新しい朝だと
いつもボクはそこで気づく
覚醒は進行し
ボクは起き上がって
戸を開ける
カーテンに飛び込んでくるあさひ
冬のキンと引き締まった冷気
それらがまるで
初めての体験のように
そのたびごとに
ボクは驚いてしまうのだ
枕元のペットボトルに気づいて
それを一気に飲み干す
朝はやはりというか
確実にボクの元に訪れたのだった
夕べ
ベッドで本を読みながら
そのまま消えてしまったボクは
気がつくと
この世界をふかんするように
遠いところから眺めていた
そこはなんというか
とても高いところのようであり
どこか別の空間のような気もする
そこは釈然としないのだが…
だから
新しい朝に生まれかわり
よみがえり
しかし予想どおりというか
一抹の不安のなか
この小さく些細なボクの朝に
ふたたび舞い降りることができたと
つい思ってしまう
毎日毎日くりかえす
なんの変哲もないこの朝に
だからボクは
深く感謝するのだ