やがて22世紀に入ると
人々はますます傷つくことを恐れ
感情を表すこともなく
ただ淡々と毎日を過ごすのだが
政府は少子化以前に
まず若い男女が出会わなければ
何も始まらないと考え
出会いの場をいくつも設定し
カップルが誕生すれば
それを後押しする策を考えた
そこで
恋愛保証書なるものを考案し
結婚に至るまでの意志のあるふたりに
それを発行することとなった
恋愛保証書の効力は絶大で
その保証を破った者には
禁固刑を科すものとした
本人の意志の確認と共に
恋愛保証書は発行されるのだが
この保証書がないと
いつフラれても文句は言えないし
心が傷つくので
誰もが恋愛保証書を求めて
相手探しに躍起となった
恋愛保証書の効果は徐々に広がりをみせ
街にはカップルが目立つようになってきた
彼らは一様に恋愛保証書を取得しているので
結婚までを約束されている
いわば国のお墨付きだ
失恋などというものは過去のものであり
新たな恋人の出現などというややこしい問題もなくなり
カップルはほぼみんな結婚へとゴールインするのだが
なかには恋愛保証書を破棄する者も現れ
そこにも政府は懲役刑を科したため
誰もが慎重に相手を選ぶのだが
ゴールインしたどこの家庭でも
子供が一人生まれ
公園へ行ったりすると
子供が砂遊びをしていたりする光景を
みんなが微笑ましく見ているのだが
不思議なのは
遊んでいるどの子もおとなしく
「能面」のような顔を
していることだった
22世紀というと近未来を予感させ、絶妙なリアル感が現代への”アンチテーゼ”としての役割を果たしているように思います。
特に最後の四行。
「能面」のような子供の出現は、実社会に対する痛烈なメッセージなのでしょう。
将来を保証するものは存在しないのに、短絡的な”用意された回答”に流されてしまう現代の風潮。
このままいくと恋愛証明書だけでなく、あらゆる分野を網羅した証明書が出現するかもしれません。
確約された未来のためにとった行動は、努力と呼ばないそうです。
不確実な未来のために尽くすことを努力と呼び、
夢や理想が現実へと昇華したとき、人は真の幸福を見つけるのかもしれません。
難しいことを背伸びして書いたけど、前回とは違うテイストの作品で純粋に楽しめたよ。
ラストは衝撃だったけどね。
次回の作品も非常に期待しています。
確約された未来のためにとった行動は、努力と呼ばないそうです。
不確実な未来のために尽くすことを努力と呼び、
夢や理想が現実へと昇華したとき、人は真の幸福を見つけるのかもしれません——-
you-skeさんの言うように、人生はチャレンジなのだと思います。最初から分かっていることは、何の意味もなさないのです。
ハートに聞く、心で感じる、傷つく、感動するーーー人にとって欠かせないもの。
まさに、自然に還れですよね!
能面のような顔をした子供は、かなりのインパクトですねw
未来が決められてるってなんか嫌ですね。こんな結末の見えた人生だったら私も能面になっちゃうかもww
最近、私は会社の人が能面に見える事がありますよ。w
黙々と会話もなくロボットのように仕事をし、定時になったら帰ってゆく。
話してても、目的をもって仕事してる人も少なくなっているのかなと思います。(私の周りだけかな?w)
大学出てみんな就職するから、流れで会社に入って、何となく入ったからつまらないみたいな。
全てにおいて、傷付く事を恐れて、安全な道を通って生きていくのは簡単な事だけど、それでは辛さを乗り越える強さや、優しさ等、人として大切なモノにも気付く事なく、成長せずに、つまらない人間になっていってしまうのでしょうね。
思わず〝人間らしさ〟というものを考えてしまいましたw
とても意味深く楽しい作品でした。
また、楽しみにしてますね♪
ユカさん、コメントありがとう!
一寸先は闇か楽園か? これ私の状況なんですけれど「生きててる!」っていう感触だけはもの凄いものがありますよ。
<最近、私は会社の人が能面に見える事がありますよ。w>
私も、名前は言えませんが時々そういうところへ出向くのですが、あの人たち、一体何を考えているのかなーって不思議に思います。
不確実なものを追いかけるってかなりのリスクですが、どうせ人生一度っきりですからね。
人間らしくやりたいな、というのが実感です。
これからもよろしくね!
22世紀の話とのことですが、まさに現代社会そのものの断片を切り取ったようなリアリティを持った作品ですね。
「能面チャイルド」は、もう僕等の近辺に出没しているのかもしれません。
これは立派な「SFショートショート」ですね。落ちの雰囲気が、星新一の作風をイメージさせます。
「恋愛証明書」というタイトルも粋です。
スパンキーさんもやるもんだ!
町田さんのご指摘のように、能面チャイルド出現の兆しは、事件報道などを聞いている限り、現実のものになりつつあるように思います。
コワ!
星新一は、スパンキーが昔ハマッた作家ですので、素直にうれしく思います。
まだまだですけれど、調子に乗ってまた書きまずぞー!
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ついに、中国の方からコメントがきました。
ありがとうございます。
全くその通りでうれしく思います。
これからも、よろしくお願いします!
スパンキーさんの書く文章は、響きますね。色んな音色が聞こえてきます♪
更新をひそかに楽しみにしていたりします☆
自己と対面し、向き合っていくことは素敵なコトですよね☆
自分のココロの弱さに背を向けても、追いかけられるだけなんじゃないか…そんな風にも思えます。
伝えたいことが書ききれなかったので、ちゃっかり2通にわけて投稿させていただきます♪
今、定期的に子どもたちと関わっているのですが、子どもたちは素直に自分を表現することができません。大人(親)に制限され、自分をずっと押し殺してきたからです。
言葉にできず突然泣きわめいたり、逆に無口になって見えないSOSを出しているのです。甘えたい、かまってもらいたい時期に愛情をそそいでもらえなかったことが、その子のこれからに大きな壁を与えてしまうのです。
関わっていると色々考えさせられますが、子どもたちは本当にかわいいです。子どもたちのやさしさや笑顔に、救われています。子どもたちから教えられることの方が多いのではないかと、最近は思います。
子どもたちに制限を与えてしまっているのも大人ですが、手を差し延べ、一緒に立ち上がるチャンスをつくれるのも、私たち大人なのではないでしょうか。
子どもたちと共に成長し、共に歩んでいけるヒトになりたいものです。
以上、中国人さんの通訳CHIAKIでした!
中国の通訳、chiakiさん、コメントありがとうございます。
子供たちの心って、いろいろな意味で、いま危機なんじゃないかな?というものが私のなかにありました。
それは、彼らを取り巻く、たとえば親や、教育関係者、ひいては地域など、
みなどこをみても、結構殺伐としていて
、我々大人も昔の人より幼稚ですよね。
そして、弱い。
そんな大人たちが育てる子供を考えたとき、ふっと浮かんだのがこのショートショートです。
これからもよろしくお願いします。