年々上がっている俺のユニクロ率である。
ユニクロは、昔のトヨタカローラみたいなもので、
チープでもなく豪華でもなく、
限りなくスタンダードなのだと思う。
機能も申し分ない。というか、そんなものなんじゃないか、
に収まる不満の出ない程度の機能性は確保している。
だから、まあユニクロを着ていれば、
無難でありそこそこなのであるからして、
コスパはいいと判断できる。
で、問題はそこから先にある。
みんなおんなじ格好して街でぞろぞろ歩いているのも、
なんか気味が悪いし、
それじゃ人民服となんら変わりがなくなってしまう。
そこで、みな個性を出すべくあれこれ工夫をする。
その差の出し方が、いわゆるセンスなのだと思う。
これは、全身をシャネルで着飾るより数段難しく、
街中できらっと光るためのセンスは、
かなり高いものが要求される。
学ラン世代の私は、みな同じあのカラスみたいな学ランに
個性を出すべく、かなりの工夫を凝らした覚えがある。
まず、首のところに付いている白いプラのカラーを外すか否か。
下に着るワイシャツは学校指定のワイシャツではなく、
当時流行りのボタンダウンを着るとか。
そして冴えないスラックスを細くして、
シルエットをかっこよくする。
いや、スラックスを太くして粋がるような格好に仕上げる…
さらには、指定の皮靴をやめてコインローファーにするとか、
もっと尖がった革靴に履き替える…とかね。
かように、不自由の枠のなかの自由の追求や個性の表現は、
それだけ検討のし甲斐があった。
ユニクロを不自由で買っている訳ではないが、
まあ個性を出す訓練のようなものと考えると面白い。
同じ服を着ていても、なんかチープなのと
かっこいいのが生まれる現状をみていて、
それがファッションなんじゃないかと考える。
車に例えれば、ベンツやポルシェに乗っていればかっこいいとか、
そんな単純な時代じゃない。
そんな世の中、甘くはない。
服も同じ。
ユニクロはそこを提示していない。
そこまでは教えてはくれない。
なぜなら、ユニクロはスタンダードの地位を維持していれば
安泰なのだから。
問われているのは、消費している私たちなんじゃないか。