ライカは面白いか

 

 

最近、カメラを手に入れた。

いぜんから狙っていたカメラなので、

獲物を捕らえた、そんな感覚がある。

 

ずっとiPhoneで撮っていたが、

あるときから一種のつまらなさを感じていた。

 

どうつまらないのか?

 

写真を撮るという行為があまりにも気軽すぎて

日常的すぎること。

写りもそこそこでほぼ失敗しないという緊張感のなさ、

なにかを写すという行為とか出来に、

しまいにはなんのありがたみも感じなくなっていた。

 

それは心底まずい、

とてもいい精神状態ではないと思った。

 

撮ることがつまらなくなると、

なにか自分のなかの大切な感覚を

失ってしまった気分になる。

それを取り返さなくてはならない。

 

そんな訳で、

一歩踏み出してみたのだ。

 

以前から仕事ではニコンの一眼レフを使用していたが、

これがとにかく機能がアレコレと付いていて、

おまけにかなり重く、機動性に欠ける。

扱いづらい。

狂いなど一切ないし交換レンズも豊富なのだけれど。

 

よって的確に設定すれば、そのとおりに映る。

仕上がりもある一定のレベル以上である。

だがそれが面白いかとなると、

そこは全くの別問題であって、

個人的には面白さに欠け、

無味乾燥さだけが残っていた。

 

そこでiPhoneほど気軽じゃなくてもいいから、

ニコンの一眼レフほど

おおげさで的確じゃなくてもいいから、

なにかいいカメラはないものか。

そんな観点からカメラを検討し始めた。

 

マトはまずコンパクトなコンデジに絞られ、

操作と写りを調べるうちにこのカメラが浮上してきた。

が、ライカを狙ったもうひとつの大きな理由は、

あるテレビ番組を観てからだ。

 

「東京漂流」というベストセラーを書いた、

作家で写真家の藤原新也が、

幼年時代に暮らしていたふるさとを半世紀ぶりに訪ねる

という趣旨のドキュメンタリーのなかで、

彼が自分のふるさとの記憶を頼りに

まちじゅうを撮りながらほっつき歩く過程で手にしていたのが、

このカメラだったのだ。

 

 

彼は気が向くと、このカメラでなんでも撮る。

もちろん彼はプロなので簡単そうに撮ってはいるが、

その写したものを見返すと、

そのどれもがある種の物語性を帯びている。

 

美しいとか上手いという印象はないけれど、

いずれもが「ドラマ性」を帯びている。

 

それがプロゆえの出来なのか、

カメラが良いのか、

そこは判然とはしないのだが、

とにかくその番組を観てから

やはりライカだなと確信してしまった。

 

ライカはもともと自分のなかのあこがれのカメラでもあったし、

コンデジならなんとか予算も合う。

という訳で機種も一気に絞った。

もう他の機種は調べさえしなかった。

 

で、どうせ買うなら正規代理店でと決め、

神奈川県に一店しかない、横浜駅至近のそごうへと出かける。

 

そのライカの正規代理店で、

簡単な設定と操作を教えてもらったが、

ニコンなどとは全く違う操作がいくつかあって

それを感覚で覚えるまで戸惑いの連続が続いた。

逆に普通の一眼レフなどにあるべき機能などが

省かれているので、そこはスパッと忘れることができた。

さらには交換レンズも一切ないので、

いちいち考える必要もない。

 

構造はいたってシンプルで、

いわば感覚的に操作するカメラ、

そんな操作に徹している気がした。

 

 

あとは慣れしかない。

 

とにかくレンズがとても明るいので、

開放で撮れば、ボケ足がきれいに出る。

暗がりを狙えば、何気ない暗がりが

やはりというべきか、

少々ドラマチックな場面に映る気がする。

 

とにかく、

つまらないを面白く、

そして日常をドラマチックに!

 

テクニックのなさは十分承知しているので、

このカメラにはかなりの期待をしてしまう自分がいる。

 

 

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