冬のことば

ピンと張りつめた夜明けの気配

かすかな陽に向かい今日という日を考えるとき

昨日までの総てを忘ると思うも

やはり脳裏で輝くあの光景に惹かれ

どうしたたものかと倦ねても

心は躍るものだ

冬に出会い春が訪れることもなく

ふたりに別れがきたこともあった

それはもう善いにしても

冬に流す涙のなんと熱いことか

胸いっぱいの呼吸もできず

吐息の白さが痛いと教える

考えることよりいまはただ歩くことだと

陽に染まる赤い山が諭すように

ただ茶の枯草を踏む

高台に立って空を見上げると

私という存在の小ささよ

言葉というものを通り越して

胸に迫る深遠の絵物語

下弦の月はかすかに笑うが

うっすらと見える星はそれを誘うように

夜明けの空を満たす

春を待つも冬に遊び

夏を恋しがるもその面影

想うことなく

秋を過ぎたり冬にいる

冬は想うもの

冬は黙るのみ

冬は過ぎた日と

或る日あの日を

映し出す

冬は透明で美しく

せめて気持ちすがすがしく

「冬のことば」への4件のフィードバック

  1. うぉぉ~すごい!
    文章の力に圧倒されました。
    感覚が伝わってくるコトバってすごいですね☆
    スパンキーさんの冬の情景や情緒表現が、とってもすきです◎
    また、愛しいひとが思い浮かぶような詩も書いてくださいね(o^∀^o)
    2010年も、よろしくお願いいたします☆

  2. Chiaki さん)
    都会の方はなかなか分からないと思いますが、田舎で見る夜明けのわずかな時間は、とてもミステリアスです。
    夜明けの複雑な空は、ひと言では語れない美しさを秘めています。
    私は横浜出身で、若いときは東京暮らしでしたので、いまの所の空の広さにいちいち感激してしまいます。
    先日、鎌倉の海辺からの夜明けを見ましたが、これがまた素晴らしい!
    夜明け評論家とか景色学者とかになろうかと考えております(笑)
    愛おしいひとの詩は、オッサンにはちょっとキツイですかね?
    しかし、調子に乗って、後日書いてみようかな(爆)
    コメント、ありがとうございます!

  3. 夜明けの空は、本当にミステリアスですね。
    私も、“夜遊び” が過ぎて迎える朝というものをさんざん見てきました。
    眠くて、疲れて、お金つかい過ぎて、後悔して…。
    そんなとき、目のまえに広がる 「紫の夜明け」 。
    真っ暗な空が、不意に濃い紫に変わる不思議な光景。
    ちょっと不気味。
    でも、美しい。
    なんか、放蕩しなければ見られない空ってものがあるように感じました。
    でも、ここでスパンキーさんがご覧になられた冬の空は、もっと凛々しくて、ピンと緊張感も張り詰めていて、心がカーンっと晴れ渡っていくような、自分を見つめなおすような…。
    そんな空ですよね。
    やっぱり、しっかり寝てから見た空なんでしょうね。
    「冬のことば」 とありますが、でも、この詩には沈黙の重みがありますね。言葉がいっぱい詰まった 「沈黙」 というのでしょうか。
    スパンキーさんの思いが、冬の冷気と拮抗しているようで、新年にふさわしい詩になっていると思いました。
     

  4. 町田さん)
    ディスコで踊り明かした朝、麻雀で負けが込んだ朝。町田さんと同じような朝を、私も何度も経験しました。
    あれは、若くないとできないし、あの頃を振り返っても、私は夜明けというものを覚えていないんですね?
    何というか、いつも遊びすぎてクタクタでした。
    空なんて興味ないというか、私のいい加減さが、何も記憶していないのかは不明(笑)
    で、最近になっていろいろ景色を楽しむようになった次第です。
    で、お察しの通り、最近は早寝早起きで生活しておりまして、朝の詩が多いんです。と言うより、夜になると睡魔に負けているというのが正直な所。
    夜は、深酒親父と若者のものですかね?
    町田ブログもさらに磨きがかかり、私もおおいに楽しませてもらっています。
    今年も頑張りましょう!
    コメント、ありがとうございます。

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