天地の便り

或る日の夜

終わらない仕事に嫌気がさして、

雨後、ひんやりとした空気のなかを歩く。

もう陽も暮れてからの散歩だが、

顔を上げると、

空にはいつになく、星が瞬いている。

雨で洗われた空気が澄んで、

星の輝きを際だたせる。

疲れた心身に、

それはまるで、

僕にやさしいことばで

語りかけるように、またたいていた。

もし、空に心があるのなら、

こんな日の夜空の星には、

人を包み込むおおらかさが、あるのだろうと思う。

空からのメッセージに、感謝。

或る休日の朝

庭に出て、伸びきった草を眺める。

そろそろ草むしりかな、などと考えながら、

その一つひとつを凝視する。

徐々に目が慣れてくると、

その青々とした雑草の勢いに、

ある種の不思議な力が、見て取れる。

しっかり生きているんだなぁと、

妙に感心してしまった。

そして、

以前から妙に気になっていた蜘蛛の巣を、

ほうきで払う。

が、あいつは、毎年のことながら、

払っても払っても、

ツゲとハナミズキの間に、上手に巣を張る。

あと23日で、再び巣を作り始めるだろう。

憎らしいが、やるなぁと思う。

そして、

足元には、蟻が列をなして長い線を描く。

少なくとも私には、

黙々と歩いているようにみえる。

ずっと眺めていると、こちらが飽きるほどに、

その列は乱れることがない。

ただ、ひたすらのようにみえる。

生きるとは、かようなものなのか。

また、地上で生きるものたちからの、

メッセージ。

感謝です。

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