栗毛色に光る長い髪を振りほどいて
振り返る
美しいいつもの君が
突然
腐った魚の頭にみえて
ああ
これは世界の終わりだと思った
(よくある話さ)
夢を捨てる
そっぽを向くとは
僕にとって
少なくともそうした精神状態は
すなわち日常の死を表すことであり
そこにわずかでもクリエイティブが残っているとすれば
振り絞る力でさっさと
過去を消さなければならない
(そういうもんさ、この仕事は)
自由に憧れ自由になろうと
僕は
自由の象徴である空の王者
オオワシに会いに行った
するとオオワシは鋭い目で僕を見下ろしてこう言った
「なんと言っても地上だな
大空ではなく
お前の地上には自由があふれている」
そう言うと
オオワシは険しい表情で
また空高く舞い上がった
(いまの環境のなかで最善を尽くそう)
人生で最も大切なものはと
私は息子たちに聞いた
「人生で最も大切なこと?
それは
強さとやさしさじゃないの」
そう
そう思っている限り
お前たちのポケットには
いっぱい愛が詰まっているよ
(少なくとも僕はそう教えたと思う)
未来はこの中にある
彼らは笑いながら自らの頭を指さし
ピストルを手にしてコインを回し
決して胸に手を置こうとはしなかった
ユダヤの金融商人と中国共産党とアメリカ軍産複合体の面々は
こうして上機嫌で部屋を出て行った
もちろんその後
世界は破滅したけどね
(彼らに世界を委ねるな!)
アートじゃ飯は喰えないと言って
ジャックはキャンバスとペンを捨て
ビジネスの世界に飛び込んだ
果たして彼の事業は大成功を収め
大金を手にし
それでも彼は或る日突然空しくなって
自らの会社を売り飛ばして旅に出た
行き先は荒野
荒野には
相変わらずみすぼらしい絵描きと痩せた詩人が
夢を語り合っていた
が突然突風が吹くと彼らは風のなかに消えてしまった
ひとり残されたジャックは頭を抱えた
そして涙を流して発狂するのだ
(現実ほど厳しいものはないって)