広告業界裏話

電通ブラック

いまさら、ですが、

広告業界はほぼブラックでした(一応過去形)

しかし、現在は働く環境改善がどこも進む中での

この事件ですので、私たちも考えさせられます。

工場のように、キッチリ計れない仕事。

これがいろいろな問題の根源にあるのも確かなこと。

電通だけじゃありません。

私の知り合いで、

電通系の制作を請け負っている会社のボスをやっていた人間がおりますが、

私見ですが、下請けの状況はさらに厳しいと感じました。

私は当時、独立系の制作会社にいましたが、

やはり一週間のうち、2日は会社に泊まり込みで仕事をしておりました。

夜中の3時頃に、事務所の椅子を集めてそこで寝る。

寝付けないときは、近くにあった青山ラーメンで餃子を食い、

事務所に戻って再び寝転がる。

しかし、いいアイデアがでないとき、

締め切りが迫っていると、むくっと起きてデスクに向かう。

そうして夜が明けてしまい、

今度は近くの喫茶店のモーニングを食いながら、

更に状況は悪くなり、憂鬱になる。

そんな日々を過ごしていると、だいたい麻痺します。

アイデアのパクリ

オリジナルの定義がそもそも難しいのだけれど、

明らかにパクられると結構アタマにきます。

コピーテキストは、それ自体に著作権がつきますが、

いざ争いになったとき、その証明が難しいらしい。

まあ、少額訴訟が多いので、まず簡易裁判所扱いとなりますが、

簡易裁判所って行ったこと、あります?

あまりやる気が感じられないこと、この上ないので、

こっちもしらける。

勝てる気がしない。ついでに手間がかかる。

簡易ですまない場合は、地方裁判所。

地裁経験はまだ経験がありませんが、

まああまり行きたいところではない。

しかし、この先は何があるかは分からない。

万が一、行かねばならぬ案件が出たら、

そんな折りは、帰りには近くの中華街で、

うまい飯を食うと決めている。

でないと、人生が暗くなる。

制作費への無理解

カタチのない成果物に全く理解のない方が、

かつてはいっぱいおられました。

そんな経営者がモノを頼んできた場合、

私たちは戦々恐々とした訳です。

どう理解してもらうか。

私たちもアタマに汗して働いているのですが…

しかし、それが分からない。

まず、えいっとひねり出したアイデアとか企画が、

いいか悪いかが分からない。

デザインとかの判断基準が皆無。

コピーライティングに関しては更にひどく、

「日本語なんか誰でも書けるだろ」

ま、最近になってこんなケースはないのですが、

あまりにえげつない価格のダンピングを要求されたりすると、

早々にこちらからお断りです。

もう意地です。

猫に小判ですから。

しかし、こうしたケースでも、

会社に体力がないと媚びてしまいます。

で、そんな仕事を続けていると、こちらが空しくなるばかりか、

同じ仕事で生計を立てているまわりにも影響を及ぼすので、

ここはもう崖っぷちでも頑張るしかない。

割と体力も使います。

出版業界からみると…

自身が出版社からの転職組なのでよく透けて見えるのですが、

出版業界の方々と話をしていると、

そこはかとなく広告業界を見下しているのが分かります。

まあ、この業界はいい加減で軽い奴が多いのも確か。

対して出版関係の方々はインテリ、気難しい系が多い。

で、一体、広告業界のなにを見下しているかというと、

人の金で宣伝をしているとか云々…

ふむふむ、これはね、確かにおっしゃるとおりです。

私も最近では少々疲弊していまして、そのあたりに

何か違和感がありまして脱出口を探しているのですが、

まあ、達成まであと5年はかかりそうです。

内容はいまは言えませんが…

いや、言いたいことはそういうことではなく、

ちょうちん記事ばかりを粗製濫造している出版業界。

あなた方は質が悪い。

人は広告と記事とをしっかり分けて読んで、情報を取り込んでいる。

そしてジャッジする。

だから、これは広告ですと宣言しているものより、

意図的な記事でも人は信用してしまう確率が高い。

こうした記事のなんと多い事か。

これはこれで、自滅。

出版社が沈んでゆく一因かと思います。

賞にまつわる話

若い頃は賞を取ることをかなり意識しまして、

広告の講座などへも頻繁に通いました。

いつか必ずヒットを飛ばすぞと、息巻いていました。

あるとき、広告学校という講座で知り合い、

何度か飯を食った○通に勤める友人が言うには、

参加作品を提出する前に審査員の先生がみてくれると。

うん?

これに私は異常に反応しまして、

よくよく話を聞くと、これはこの会社ではよくある慣習らしく、

だから彼は何の悪気もなく私に話したのですが…

予定通り彼は新人賞みたいなものをとり、

さらに後年、彼はなんとか大賞というのもモノにしました。

こうなると、何が実力かコネか訳が分からなくなる。

私はというと、一応純粋に賞というものを信じ、

目標にしていたので、そのショックは相当なものでした。

以来賞というものに全く興味がなくなり、

全く違うベクトルで仕事をしてきました。

誰かの役に立つ、という行為は、

いわば人の幸せの定義でもあるらしい。

ささやかでもいいので、そんな目標が最善ではないかと…

「広告業界裏話」への2件のフィードバック

  1. 私が最近興味深く見てたTVドラマ2本。「営業部長吉良奈津子(松嶋菜々子)」と「ノンママ白書(鈴木保奈美)」。
    どちらも広告宣伝部で抜擢女性部長の奮闘を描くドラマ。そこでは、感性と創造性を中心にした仕事が重視される。宣伝の分野なら女性も男性に伍しやすいという前提で宣伝部が設定されたのだろうな、と思いました。同時に、広告宣伝はドラマでは華やかでトレンディーなイメージがあるのだろうなあとも。賞をとるエピソードも出てきましたよ。
    スパンキーさんのお仕事は、華やかなのです。同時に創造性がたっとばれ、人口知能化が進んでもおそらく生き残る職種でしょう。
    銀行にも営業部員は「自己裁量労働」という分類で時間外手当は適用されませんでした。給与は高めにするが、時間外はどんどんやってでも成績を上げてくださいと。
    電通の肩を持つ気は全くありませんが、広告宣伝という職種は、「時間外」という概念と対立する気もします。だからブラックの温床となる面もあるのですが。
    機械でなく人間最後に残される仕事は、ブラックなくらい人間的なのだ(笑)。

  2. Soraさん)
    営業部長吉良奈津子とかノンママ白書ってテレビでやっているんですか?
    スイマセン!全然知りませんでした。テレビだと演出も派手なんでしょうね?
    カツコイイ恰好でキビキビ働いているところ、堂々としたプレゼン風景とか。
    私的には、なんだか地味な過去ばかり。ムカシはワープロですか、
    あの前で全然コピーアイデアが浮かばなくて、夜中に座りながら寝ていたのを
    思い出しました。だから余計机を離れたときに派手になってしまうのかな…
    で、銀行にも同様の職があるのですね? 自己裁量労働とはうまい名称だと思います 笑
    Soraさんの書かれた「機械でなく人間最後に残される仕事は、ブラックなくらい人間的なのだ」
    というのが考えさせられますね。逆説的であり皮肉のようでもあり、
    が、なかなか真ん中を付いているなぁってね。
    人にしかできない仕事ってだいたいがファジーなので、時間と相反します。
    そこが今後の課題なのでしょう。
    コメント、ありがとうございます。

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