最近は、屋外で写真ばかり撮っている。
天気がいい日は、朝から落ち着かない。
日差しが僕を呼んでいるとでもいうのかな。
今年は台風でキャンプにも行けなかったし、
約束の河原での焚火もまだ行っていないし。
最近は仕事もほどほどにして、
何かと理由をつけて表に出る。
そうしないことにはすぐ年をとってしまう。
そのように錯覚している。
しかし錯覚ではないようにも思っている。
一日中仕事をしていると、寝るときに後悔の念が襲う。
これは旧人類として、とても良い兆候だと思っている。
何とも思わないようになったら、
それは進化という名の退化なのだと、
自分を疑ってしまうから。
それにしても、
デスクワークっていい加減に飽きます。
座っているのはしんどい。
体に良い訳もなく、最近とみにいらいらする。
企画とかライティングを生業としているのに、
これはマズイぞとか、
もう危機とも思わなくなってきた。
きっと生来の自分が、
うん十年の眠りから目覚めたのだろう。
野山を走り回っていた頃、
僕は本当にいきいきしていた。
妙な体調不良も一切なかった。
秋は、少し山に入ると栗がゴロゴロ落ちていて、
それを必死で剥いて、生のまま食べていた。
柿も食べ放題だった。
まさか八百屋さんで買うものとは
思ってもみなかった。
冬も鼻を垂らして遊びまわっていた。
春は、一日中田んぼでカエルの卵を採っていた。
夏になると、
葉山の海によくでかけた。
岩にウニがびっしりと生息していて、
よく焚火のなかに放り込んで食べた。
そうした思い出のなかには、
いつも大きな空が広がっていた。
青い空、雲の怪獣、
夕暮れにあらわれる影絵の世界。
僕は今頃になって、
無意識的にだが、
現代の危機から逃れようとしている
のかもしれない。