正月レポート、ざっくり湘南

 

田舎に住んでいると都会に行きたくなる

 

都会に住んでいると田舎に行きたくなる

 

という訳で、トカイナカの山岳の住人は

 

久しぶりに湘南の海がみたくなった。

 

 

正月なので、どこも混んでいるのを覚悟で出発。

 

 

茅ヶ崎の海へ出ようと、途中、寒川神社の近くの道を通った。

 

それがそもそもの間違いだった。

 

車が全く進まない。

 

覚悟はしていたものの、長時間のノロノロ運転に、

 

いい加減にぐったりする。

 

 

で、寒川をやっと過ぎ、茅ケ崎の海沿いにやっと出るも、

 

ここ国道134号線もやはりノロノロ運転。

 

が、海がみえた!

 

 

きらきらしている波間を久しぶりにみて、

 

やはり来て良かったと、少し気が晴れる。

 

そしてなんとか江の島へと近づくも、

 

やはりというか、橋の入り口に車がずらっと渋滞しているので、

 

手前の鵠沼海岸のパーキングに車をとめる。

 

ここが空いていたのもラッキーだったようだ。

 

他の駐車場はずっと満杯状態。

 

 

さてと、ようやく車を降りて深呼吸。

 

思い切り伸びをする。

 

そして晴天の砂浜を歩く。

 

おお、海が輝いているではないか。

 

 

サーファーが多数、波間に浮いている。

 

浜で犬がはしゃいでいる。

 

ここかしこで凧あげをしている。

 

おだやかな正月というにふさわしい絵である。

 

 

キュッと鳴る砂を踏む音が心地いい。

 

気温高め。

 

上半身裸でサングラスをかけたおっさんに、幾度か遭遇する。

 

皆、決まったように缶ビールを飲んでいる。

 

ここ鵠沼あたりで流行っているのかなぁ。

 

とりあえず、一見サンタモニカ風ではある。

 

 

さて、店は当然どこも混雑していて、

 

コーヒーの一杯をいただくのが大変。

 

結局、空いていそうなデニーズをみっけた。

 

一席をようやく確保。

 

それでも店内は超満員だった。

 

 

そんな正月の折、

 

苦痛の顔を浮かべた30代とおぼしき男が

 

ビールを飲みながら女性と向き合っている。

 

女性の表情はみえない。

 

男の顔がみるみる赤くなっている。

 

厳しい話は、いよいよ核心へと迫っている模様。

 

(いやだなぁ、こういうの)

 

正月早々、喧嘩か?

 

いや、あの深刻さは、別れ話?

 

いずれ正月の海辺とはいえ、

 

楽しい人ばかりではない。

 

現実は、常に強烈にドライなのであった。

 

 

店内の混雑とその雰囲気にかなり息苦しくなって、

 

早々に表に出る。

 

 

で、そこからほど近い湘南ホテル跡地前を歩く。

 

いまは高級マンションにリニューアルされ、

 

ちょっとコテコテした外観に変貌している。

 

 

 

ホテルは、もう10年以上前に閉鎖したと記憶しているが、

 

場所もプライスも好感がもてたので、

 

家族で2度ほど利用したことがある。

 

地下にプールがあって、

 

その脇にハワイアン風のリラクゼーションの店があって、

 

雰囲気のあるホテルだった。

 

部屋も広く、和室もあって、夜は波の音が聞こえた。

 

隔世の感。

 

 

さて、サザエが食いたいという奥さんの要望を却下して、

 

大渋滞の江の島の橋を渡るのを断念し、車を走らせる。

 

茅ケ崎パシフィックホテル跡を懐かしく眺めつつ、

 

平塚を通り越して、目的の大磯へ。

 

ここで海岸沿いの道から、細い一般道へ戻る。

 

目的は、去年リニューアルした大磯プリンスをひと目みようと、

 

来た次第。

 

 

が、新しい大磯プリンスは、思うほど、外観に変化がない。

 

館内へと入るも、さして驚きもなかった。

 

大磯温泉が、新たにスパ棟として建てられていたが、

 

あとは、古い建物をそのまま生かしたのはいいが、

 

あまりかわり映えしない。

 

さらに、館内の導線がよくわからない。

 

敷地のプールも植樹も、どうもレイアウトがいただけない。

 

もっとも客室のリニューアルは、ちょっと凄いらしい。

 

今度、宿泊してみようかな。

 

 

惜しいのは、この敷地内の一等地に建っていた

 

木とガラス張りの美しいチャペルをなくしてしまったことか。

 

夕陽に照らされたここのチャペルに足を踏み入れると、

 

誰もいない室内には、

 

いつもエンヤの神秘的な歌声が響いていたのに。

 

 

思えば、その昔、大磯プリンスホテルは、

 

神奈川県民のあこがれだった。

 

大磯ロングビーチは、夏に金持ちの家族のみが行けるところだった。

 

私と家族が来られるところではなかったが、

 

だからだろうか、

 

その姿にずっとあこがれてきたような気がする。

 

後年、縁あって、このホテルの企画をやったときも、

 

私はずっと、このホテルに敬意の念を抱いていた。

 

しかし、いまは

 

━幽霊の正体みたり枯れ尾花━

 

夢から醒めた私がみた、正直なこのホテルに対する印象だ。

 

 

帰りも、やはり国道1号の旧吉田茂邸あたりから

 

車は全く動かなかった。

 

大磯駅まで数キロなのに、小一時間かかった。

 

古い町並みと人通りの少ない商店街が続く大磯。

 

左手の山の中腹あたりには、あの村上春樹が住んでいるということで、

 

ちょっと気になったが、疲れていて見上げることもなかった。

 

 

かように、渋滞は疲れるし、暇なのである。

 

車内で、普段は考えもしない、いろいろなことが頭をよぎる。

 

 

たとえば、この渋滞を俯瞰して考えると、

 

ホントに日本の人口って減っているのか?

 

などという疑問が頭をもたげる。

 

もちろん、今日は正月という特別な日であり、

 

ここは首都圏の観光地だからという事情も加味してみる。

 

 

さらに、人口が増え続けなければならないという経済の考え方って、

 

ちょっと間違っているのではないだろうか、

 

などという小難しい問題が提起される。

 

これらは私の頭では無理なので、思考を断ち切り、

 

我にかえる。

 

 

あたりが暗くなってきて、ようやく車も動き出した。

 

ああ、久しぶりの長い休みも、これで終わりか。

 

休み明けの初仕事が怖いなあ。

 

 

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