私の父は、いわゆる戦争の生き残りだった。
南方のように、ほぼ全滅させられたのではないが、
関東軍として、壊滅的な状態で、満州で終戦を迎えた。
そして、捕虜としてシベリアに送られ、
戦後数年経ってから、本土の土を踏む。
村でただ一人の帰還兵。
生きて帰ってやれやれと思ったら、
父を、まわりが白い目で見るという。
羨ましさか、怒りか?
誰も生きて帰ったことを、喜んでくれない。
変だなぁ、
生きて帰ってきてはいけないのか?
ただ素直に、父は思ったと言う。
「何故、死んで帰らなかった?
何故、英霊にならかったのだ?」
と、ある人に言われたらしい。
イキテイテスイマセン。
怖い時代、見苦しい人間達。
いまも、世界のどこかで紛争は起きている。
殺戮は、そう簡単になくなるものではないらしい。
ここのところ、近隣でキナ臭い情勢だ。
朝鮮半島は一色触発状態。
民主党のお陰で、日米安全保障条約とは何か?という
根本的な議論も、炙り出された。
人間の尊厳、命の軽さ。
そもそも、私は人間というものの本質が、
いまでもよく分からない。
ついでに言わせてもらえば、国とか国家とか
領土という線引きについても、疑問がついてまわる。
よく、偉い政治家や軍人が勇ましいことを発言したりするが、
私は、どうもこういう種類の人たちに嫌悪感を覚える。
「あんたがいつ死ぬかも知れない最前線で指揮をするのなら、
私も心を改め、考え直します」
なにはともあれ、放っといてくれ!
ついでに余計なことかも知れないが、
いまの若者のことも放っといてくれ!
私は、国のためという理由と根拠が、
まるで分からない人間だ。