仕事柄か、本が大好きなので、
読むものが常に3冊~5冊くらいが同時進行している。
また、私の場合、書籍類は経費として認められている。
名目は研究費。
別に研究などしていないが、
帳簿では、そうした項目となる。
お役人が考えた仕分けなのか?
で、研究費はあまり節約しないようにしている。
結果、部屋は本だらけ。
先日も久しぶりに本屋へでかけ、主に雑誌類をあさる。
普段は、ほぼアマゾンで賄っているので、
久しぶりに町の本屋へ行くと、うきうきする。
あの、本がズラリと並んだ爽快感は、ネットでは味わえないです。
まず手に取ったのが、
枻出版の「Daily U・S・A」。邦題、アメリカの日用品図鑑。
ざらついた手触りの紙質は、良い意味で引っかかりがあり、
漂白してなさそうな、
少しくすんでいるところに好感。
ページ数はP200あるので重いかなと思ったが、
そこはペーパーバックの如くライト。
アメリカンなのである。
制作者がそこまで気を回わすと、やはり本はいいなぁ、
高価でも欲しい本は買うな、と思ってしまう。
これは、ネットが幾ら頑張っても、出せない感触だ。
当たり前だが、存在感が違う。
ページを開くと、
アメリカン・クラッシックな雑貨やチョコ、
お菓子、家電やケミカル製品がズラッと並ぶ。
ひとつひとつの製品写真が少々荒れ気味に、
かつ大胆なデザインでレイアウトされている。
イメージ写真やイラストもポップで、
これは学ぶべきところが多いな、と思う。
眺めるにつれ、
バットマンやグリーンホーネットが活躍していた時代に
アメリカ文化の基礎は、すでにできあがっていたように思う。
↑はジョークだが、イメージとしては分かって頂けると思う。
日本や中国、欧州とはひと味違うアメリカン・カルチャーは、
ときとして、気になる魅力を発する。
さて、2冊目に、月刊「ペン」に目がいった。
クリエイティブの最前線という特集を組んでいたので、
中をペラペラとやってみて、衝動買い。
クリエイティブといっても、その範囲はプロダクト、
写真、広告、グラフィック、建築と多岐に渡っていて、
各分野のスグレモノがズラッと載っている。
普段は、こうした分野にまで網を張っていないので、
目から鱗とは、このことか。
出版社は阪急コミュニケーションズ。
いいものつくるなぁ~と、つくづく感心。
そういえば先日、歯医者の待合室で読んだ、
「GQ JAPAN」も良かった。
もう廃刊された名雑誌「NAVI」の編集長だった鈴木正文さんが編集長をしている。
記事は硬軟入り交じり、お洒落なのにかつ原発などの話題にも触れ、
鋭い言及がなされている。
他では読めないレポートは、迫るものがあった。
で、この雑誌は「NAVI」に似て、
その文字の組み方やレイアウトなどか踏襲され、
素人のデジカメ写真とは全く次元の違う写真も贅沢に使い、
プロの仕事をいかんなく発揮している。
こうなると、本の強みが見えてくる。
e-ブック(電子書籍)とは異なる価値が、明快だ。
デジタルは、デジタルとしての役目があるだろうし、
アナログ本は、それと異なる方向に活路がある。
また、コストやエコの問題に加えて、現在は
「フリー論議」も盛んだ。
フリーとは、要するにタダのこと。
世の中、タダの情報やソフト、サービスが蔓延しているが、
行く末はどうか、気になる話題ではある。
フリーは、本も例外ではない。
すでに中身がネットで見れるものの他、
著作権切れの書籍なども含め、
タダに近い状態になっているものもある。
で、このタダビジネスはどうやって儲けているかだが、
おおかた、広告などの間接的な稼ぎのスタイルが多い。
例えば、タダで読める書籍サイトがあれば、皆が集まる。
サイトアクセスが増えるので、訪問者にタダで本が読める代わりに、
そのサイトに広告を出稿する企業がお金を負担することとなる。
フリーの仕組みの一例は、簡素に話せば、こんな具合だ。
で、話を本屋の本に戻すと、
フリーという概念を吹き飛ばす価値の高いものは、
まだまだ存在する。
書籍の生きる道は、この辺りにあるような気がする。
で、その他の書籍はどうなるのかというと、
前述した価値のないものは、やはり淘汰の道を辿ると思う。
書籍も進化の真っ最中なのだ。
なんだか、
ダーウィンの進化論と重なるような気がする。
本屋はいいですね。
別に本を買わなくても、棚に飾られた本を眺めているだけで、なんとなく 「時代のトレンド」 というものが見えてきますものね。
そういった意味で、ネットよりも効率のいいマーケットリサーチができるような気もします。
本がこれから生き残るためには、何が必要か。
おっしゃるように、>> 「フリーという概念を吹き飛ばす価値の高いもの」 を付加していくということなんでしょうね。
そういった意味で、>> 「文字の組み方、レイアウトの方法、さらにプロの撮った素人とは次元の違う贅沢な写真」 … などといったところでは、まだまだネットよりもペーパーの優位性が残っているように思います。
ご指摘されているように、もう 「単なる情報」 だけで、書籍がネットを上回る時代は過ぎましたね。
これからは、読者が著者に感じる 「愛」 とか 「リスペクトする気持ち」 をくすぐっていくようなものしか生き残れないような気もします。
「愛」 とか 「リスペクト」 って、かなりフェチなものを要求しますよね。
「あの人が誕生日にくれたオルゴール」 … みたいな感じで。
それは、他の100個のオルゴールにはない、唯一絶対のオルゴールなわけで、だから所有者にとっては手放せないものになる。
なんか、本も、そういうフェチな部分をくすぐっていかなければならないのかなぁ … などと思うこのごろです。
町田さん)
今回の記事の中で、書籍に関する話と電子ブック、そしてフリーに関することなど、
本来ひとつひとつ大事なことを、もう少し掘り下げて書かねばと反省しております。
電子書籍は、弊社のサイトには載せていませんが、すでにノウハウはありまして、
某企業とのアライアンスも済ませました。
電子書籍もそれなりの進化を考えていまして、ただ文字や絵を並べてもいけない、
ということで、やはり映像や音を組み込んだものが出始めています。
これも進化ですね。
で、従来の本ですが、これは町田さんもおっしゃるように、フェチに走らないと、
その存在感がなくなってしまう。そう思います。
たとえば、あるバイクのプラモデルの本を出すとします。
ここから、すでにマニアック!
で、編集者がこの狭い了見の案件をどれだけ愛せるか?
その深さが本づくりで試されるような…
当然、市場とかパイは小さくなりますが、現在はすでにマス・マーケの時代では
ないですからね。
本は五感で勝負というところもいいですね?
で、いろいろ考慮しますと、この本の一冊のプライスは高くなる。
これからは、こうした本づくりもありかなと思っています。
あと、フリーに関する話ですが、これはもう市場革命のような
延々とした話になります。
なにかのモノ、コトだけで金が稼げるかという、かなりシビアな
時代に私たちが遭遇している訳で、ここを理解しないと、
次がかなり厳しくなる。
次回キャンプはこんな話もいいですね。
コメント、ありがとうございます。