遅い。けれど…

彼の第一志望は、かつて弁護士だった。

しかし、当時、父親の死により公務員になる。
以後数十年その職務を全うし、がやはり組織に疲弊して、
最近その職を離れる。

私の夢はルポライターになることだった。
もの言う写真の撮れるルポライター。
しかし、食えないとの現実を知り、
いや、腰が退けての進路変更。
が、フリーな立場だけは堅持するも…

お互いここ数年激務だったが、
最近の彼の落ち着き様に安堵し、
先日の飲み屋会議で、
遅ればせながら東北行きを決める。

何もしなかった自分たちが、
まず現実を見ることから
始めようと…

遅すぎる行動。
その自分に苛立つ。

そして、
もう若くもないし勢いもない、
俺たちってホント腹立つな!

それが合い言葉になってしまった。

………

浜で「お母さん」と叫んでいた、あの女子高生。

なのに、

自死を叫ぶ女性ひとり助けられない現実があった。

言い訳は100思いついても、やはり罪は残る。

せめて向かい風に立っていないと、
いまの自分は、
やがて崩れるだろう。

人が人であるために、できることをいまから…

親父、お袋、

これで良いんだよな?

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