ちょっと仕事のこと

今年ももう終わりだけれど(今日は12月31日大晦日)、

この1年は総じてシステム・プログラム系の仕事に

忙殺された感がある。

システムの成功例として挙げられるのは、

なんと言ってもアマゾンだろう。

このwebサイトはシステムの発想自体が優れているので、

すべてに於いて他より優位に立っている。

たとえば或る本を探すとする。

するとその本に関する詳細なデータ、評価、

そして類似本までがズラッと表示され、

訪問者の興味が失せることのないよう

綿密にシステムが組まれている。

更にこのシステムには自分の注文履歴、配送状況、

キャンセルのやり取りも簡単にできる。

想像しうる万全が尽くされているのだ。

このように

webサイトの構築に於いてシステムを組む場合、

その構築には、

脳と神経を全開にしなければならない。

そして、多大な費用と時間がかかる。

その他、検索エンジン対策、PPC広告の検討、

ユーザビリティ等で優位に立つことも前提に、

最善のシステムを考えなければならない。

これはとりもなおさず、

ビジネスの勝敗を左右すると言っても過言ではない。

こうしたシステム系が重要視されるようになったのは、

何も最近の話ではない。

現在、広告をひと口で括ろうとしても、

その裾野は広大過ぎる。

ウチとしてもこれらの状況を念頭に、

勉強と興味の両面から注視・実践してきたのだが、

実際のビジネスの現場では、思わぬ問題点が次々と噴出した。

文化系の自分にとっては苦手な分野だが、

思えば広告のスキルも年々多様化・細分化の道を辿り、

いまひとりの人間がすべてのスキルを手にするのは、

ほぼ困難と言えよう。

これはウチだけでなく、

ほぼすべての同業種企業が抱える問題と言える。

よってウチの場合も、

社員、仲間、協力スタッフの力がなければ、

この道は閉ざされていたに違いない。

こうしたプロジェクトの基礎とも言うべき

総体的な企画・方向性は、

まず絶対に間違えてはならないのが鉄則である。

後は最前線の専門スタッフの力量にもよるが、

基礎がしっかりしていれば、

そのプロジェクトはほぼ成功する。

幸いにしてウチの場合は、

ディレクターとスタッフに助けられ、

幾つか本格始動に至ったが、

現在でもそのメンテナンスに気が抜けない。

そして更なるユーザビリティの向上をめざし、

システムの改良を検討・実行したりしているが、

運用途中で思わぬバグが発生することも多々あり、

こうした場面では冷や汗が出る思いが続く。

要は多大な投資に見合う成績を上げなければ、

それはビジネスプロジェクトとして失敗の烙印を押される。

しかし、ビジネスは端っから成功することが前提の契約なので、

間違いは許されない。

という訳で、ここ数年は、ほぼ休みがなかったに等しい。

旅行はしない。

休日でもパソコンは必需品である。

こうしたサイトを

滑らかかつ快適なユーザビリティで運用してゆくには、

正確にいえば立ち上げから軽く1年以上はかかる。

またこうしたwebサイトは、

システムだけでなく、これまた手間のかかるコンテンツの充実、

SEO的な見地からの検索エンジンに対する施策、

更にいえばテキストの綿密な見直し、

更なるデザインの変更等、

やらなくてはならない事がメジロ押しだ。

私たちはいわゆるクリエーターと呼ばれてはいるが、

現在の広告状況は、

クリエーターという職種だけでは括り切れないほど、

広範な知識と技術が要求される。

そうしないと、今後は更に生き残れない現実がある。

システム構築技術、検索エンジンを理解する、

そして本来の仕事であったハズの魅力的なデザイン、

人を動かすテキスト(コピーライティング)等々…

これだけでも、広範な勉強と知識が要求される。

しかし、これらの力が結集しなければ、

これからの広告の仕事は立ちゆかない。

次々と生まれる新しい知識、

早々と廃れてゆく技術。

普遍的なものは、なにひとつないに等しい。

私事だが、

最近、そもそも広告ってなんだと自問自答してしまう自分がいる。

それでも走り続けなければならない現実があり、

走りながら考えなければならないことが数多(あまた)あって、

いまだ明快な回答は導き出せないでいる。

元々この業界は、文学好きや、

美術好きのアーティスト系の人間たちが集まっていたのだが、

いま振り返えれば、

それは遠い昭和の懐かしい話である。

私自身本当のところ、

現状のこの業界があまり好きではない。

最近、仕事の合間をみてよく山に入る。

夜空を眺めるための双眼鏡を手に入れた。

印象派の絵や外国の書を見に、暇をみては

美術館へと足を運ぶようになった。

旧作と呼ばれている映画を最近よく観る。

気にいった作家の本を集めている。

キャンピングカーで、とにかく何処でも良いから、

でかける計画を無理矢理立てている。

そして運動を欠かさないようになった…

すり減る神経、行き過ぎたユーザビリティ、

追いかけてくるしつこい広告、検索エンジン至上主義。

ああ、便利便利で、

いまにすべてが崩壊するのではないか?

―時代なんかパッと変わる―

私はそう思っている。

ムカシは良かったと言っている訳ではない。

自分のズレ具合があからさまになったからなのか。

いや、本来人間ってそういうもんじゃないだろ?

という根本的な疑問がどうしても消えないんだなぁ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.