理不尽に生きてきた友は、
あと数年しか生きられないだろう。
奴が笑ったのを見たのは、わずか数回。
あとは苦悩する哲人のように、
いつも何かのこたえを探すような目で、
遠くを凝視する。
友よ、お前は世間に合わなかった。
いや、この世に合わなかったと言うべきか…
お互い、せせら笑われることしか、
なかったしな…
俺たちが被った理不尽な扱いは、
きっとあの世で解消されるだろうよ。
そして、
あの世がいま、お前を必要としているのだ。
友よ、いまお前は何を想う。
怒りか、
悲しみか、
ひょっとするとため息まじりの、安堵か?
先へ行ったら、俺の話も聞いてくれ。
決して理解し合う間柄ではなかったが、
先を思うと、つい唇を噛んでしまうのだ。
な、もう一度会おうぜ。
罵り合い、殴り合い…
お前と俺はよく険悪になった。
が、俺をまず認めてくれたのは、
実はお前だったんだ。
だから面白くもない台詞だけれど、
友よ、
やはり眠らないでくれと…
同時代を生きてきた証に、
同志として、
もう一度だけ、
俺はお前と語り合いたいのだ