南佳孝さんのライブへ行ってきた!

     

 

大磯在住の南佳孝さんは、

いつもラフな格好をしていて、

そのまま海辺を散歩していても

何の違和感もないおっさんである。

そんな服装でそんな雰囲気を引きずって、

「よう!」と言ったノリでライブに現れるから、

ファンもみんなよく知っていて、

知り合いと出会ったように「久しぶり!」

とでも返すような拍手を惜しみなく送る。

 

会場は小さい。

100人くらいでいっぱいの地下空間。

そこに折りたたみの椅子をびっしりと並べて、

彼のアコースティックライブを、

2時間めいっぱい聴かせてくれる。

往年のファンは、いつでも何処にでも

彼を追っていくらしいのだ。

私はこのライブは2回目なので、

まあ、にわかファンの部類。

彼とディープなファンとの距離の近さを知るにつけ、

あの会場のリラックスした雰囲気に、

なるほどと合点がいくのだ。

 

南佳孝が初めてヒットを飛ばしたのは、

1979年の「モンローウォーク」あたり。

郷ひろみが大ヒットさせた「セクシー・ユー」が、

そのカバーといえばわかりやすいか。

アップテンポの曲で、当初は彼も少しステップを踏みながら歌っていた。

アイドル歌手になるつもりだったのだろうか?

そんなことを諦めてくれて良かった。

駄目で良かった。

彼は生粋のミュージシャンだから、

妙な逸れ方をして成功でもされたら、

いまの彼はいなかったし……

 

私が彼の曲を深く好きになったのは、

「日付変更線」を聴いてから。

ちょうど、南の島へ行った頃で、

椰子の木の下で、この曲をウォークマンで聴いた。

前日、日付変更線を超えてきたので、

珊瑚礁のリーフに打ちつける白い波を眺めながら

この曲を聴いていたら、

「心底しあわせじゃん」と本気で思えた。

 

そろそろこの人も70歳くらいと思うが、

最近では斉藤和義とか杉山清貴とか薬師丸ひろ子とか、

いろいろな人とコラボって、新しい試みをしている。

 

相変わらず、前を見ている。

 

最新のシングル「ニュアンス」と

「冒険王」を歌ってくれたが、

どちらもかなりGOOD!

「ニュアンス」はメローで年を重ねた大人の歌。

作曲は来生えつこ。

年相応だからか、親近感を感ずる楽曲だ。

「冒険王」はスローだーかつ迫力のあるメロディライン。

さらに詩がすごく熱い。

胸にぐっとくる。

作曲はもちろん南佳孝だが、作詞は松本隆。

やはりね、深く納得しました。

 

「憧れのラジオ・ガール」って、聴いていてなつかしい。

私たちはある時期、ラジオで育ったようなものだから。

 

「スタンダード・ナンバー」は都会的かつ感傷に浸れる。

♪愛ってよく分からないけど、傷つく感じがいいね♪

 

「スコッチ・アンド・レイン」はやはり渋い。

♪スコッチ雨で割れば言葉がいらなくなる♪

♪頬が濡れて、まなざしが濡れて、心まで濡らした♪

ため息の出るほど、その空気が伝わるフレーズ。

 

ひと通り歌い終わっても、拍手が鳴り止まず。

で、アンコールの彼はなんと坂本九の

「上を向いて歩こう」。

皆で歌おうと。

これが盛り上がりまして、その熱をさらに加熱するように、

最後は、彼の最大のヒット曲「スローなブギにしてくれ (I want you)」

で締めくくってくれた。

 

帰って、熱いコーヒーを飲みながら、もう一度YouTubeを聴いた。

思うに彼は全く偉ぶらない。

出たがりでもない。

やり方次第で、

いまも相当の大物感を漂わすこともできただろうに、

そうした事はダサいと信じているフシがある。

 

彼の言いそうな台詞を考えてみた。

「こういう歌って好きだし、

もっともっといいの、まだまだつくりたいね。

まあ、死ぬまで歌っているよ、

…だって好きだからね」

 

そういう人。

 

歌に声に、色気がある。

奏でるものに生気を吹き込む。

物語を歌う人。

 

ビジュアル的にイケてる人という訳じゃない。

しかし歌っている彼を見ていると、

ほんとにかっこいい。

 

きっと彼の生き方がかっこいいんだろう。

 

 

 

 

 

 

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