築地市場の移転問題で揺れていますね、東京都。
たまにニュースや関連記事を読んで思うのは、
世界最大の都市・東京なのに、政治・行政は
田舎レベルだとバレてしまった、ということだろうか。
代々、都知事になるのは実力はさておき有名人ばかりで、
議会は親分・子分の関係が絡み合った寄り合いレベル。
利権がないといえば嘘になるだろう。
こうして次はオリンピック・パラリンピックの開催である。
きっと誰かが一稼ぎをする、しているのだろうことは、
誰もが思うこと。
で、気づいたのは、こんだけ大きな都市だから、
予算は膨大なのだけど、
そこは無尽蔵の如く結構適当だということ。
難しい事、面倒な事は専門家に丸投げし、予算は言い値。
あとはなんとかなってしまうのが東京都だ。
税収が多いし、まあ、たまに失敗しても
誰も責任をとらないところが太っ腹である。
そもそも、リスクを伴わず責任もとらない仕事というのが
イマドキ存在すること自体、私には驚きであるが、
そんな曖昧な集団は、きっと腐る、いつか腐る訳で、
よくよく考えれば、こんな人達の塊は
いまでも日本の何処にでも存在しているのだから、
思わずため息が漏れてしまうのだ。
こうなると、経営という側面のみで考えるに、
花の都・大東京の政治・行政を動かすのも、
それほど大変なことのような気がしないから、
こちらも親近感が湧いてくる。
零細企業なんかを経営するほうがよっぽど難しいのではないか。
これは半分皮肉だが、半分は本気である。
かつて東京に住み、東京の企業に勤め、
更に友人たちと会社を立ち上げたときのことではあるが、
この頃は当然、夢と希望もあった訳だが、
それに沿うように先行きの不安が始終ついて回っていた。
いくら零細とはいえ、潰してしまっては大変な事になる。
常に危機意識が拭えない。
コスト、創意工夫。
そんな言葉がいつもアタマを駆け巡っていた。
とまあ、これがフツーなんだけれどね。
さいわい、東京と言うところは企業数がずば抜けて多く、
よって仕事も大量に発生するので、
営業力とツテとそこそこの仕事をこなしていると、
経営はなんとか維持することができたのである。
事務所の家賃など固定費等の維持費は高いが、
それを上回るメリットがあるのが、東京なのである。
よってリスク覚悟でビジネスをするのに、
東京はかなり面白いマーケットではある。
で、肝心の仕事の質・レベルだが、
凄い仕事をする会社や人間がいるのも東京だとしたら、
逆に低レベルでもなんとか喰えてしまうのも、
東京という所ではある。
才能と実力がなくても、
ツテでなんとか凌ぐことができるのが、
東京のおおいなる包容力といえるのではないか。
こうした感想は私の勝手な経験則で、
皮肉でもなんでもない。
が、こうした事情がクリエーターに限ったことなのかどうかは
私にはよく分からない。
よって、この話は広告業界限定である。
そしてやむを得ない事情で東京を離れて実感したのは、
仕事の仕方、そしてマーケットとその構造が全く異なることだった。
この場合のマーケットとは、
東京以外というマーケットという定義にしておくと分かり易い。
仕事の規模も小さく数も少ない非東京マーケットは、
当然、クリエーターの数も少ない訳だが、
なんというか、そこにハッキリと生存競争の原理が働いているのが
手に取るように実感できるので、
ひょっとしたら東京以外のほうが、
厳しい環境下なのかも知れないということだ。
非東京マーケットはおおむね、
媒介として、大手広告代理店が介在しない。
よって、経営者と直にやりとりする。
ときに厳しい言葉を投げかけられる。
おまけに予算が少ないことのほうが断然多いのが、
非東京マーケットである。
そこには、仕事のレベルも関係するようにも思うし、
営業力も影響するのだが、
更に難しいのは、経営者の志すところを察知し、
それを共有しないことには
仕事が立ちゆかなくなることである。
こうした環境下において、非東京という仕事場には、
あの大東京市場のような包容力もなければ、
無駄とか余力というものは一切存在しない、
ということである。
よって各企業の切実さも直に伝わるし、
経営者が決断して身銭を切る分、
当然のようにこちらに要求するハードルも高くなる。
翻って思うに、
東京にはそれなりに過酷な何かが存在するのも確かである。
その過酷が何かは、それぞれの人によって違うような気がする。
それを分かった上でなお、
ビルとか混雑だとかの見た目とは裏腹に、
あんなに住みやすい、いや生き易いところもない。
それが東京のように思う。
だから皆、東京を出るのを嫌がる。
そして怖がる。
逆説的にモノを言うようだが、
東京には「村」のようなやさしさがあるように思えてならない。
これが一極集中日本の光と影の現実である。
だから誰も東京をめざすのだ。
だからみんな東京に居続ける。
だから東京はいつも人がいっぱいなのである。
東京という村を一歩出ると、
そこには喰うものもなく山姥がいて、
カッパが出て、熊に追いかけられて、
おまけに真っ暗で…
おっと、またひねくれてしまった、
ヤメとこっと!