落ち葉

それは落ち葉のこすれる音を

考えているときだった

気持ちを集中して

僕は落ち葉の目の前にしゃがんでいる

冬の公園だった

さ、もう少しで聞こえるぞ

カサっていうのだろうか

シュッって糸のようなこすれた音なのか

いや、落ち葉は黙って風に吹かれて

離ればなれになって…

その葉は何色で

黄色?

枯れ葉色がいいのか、

気持ちが地面にズームして

もう僕はコガネムシの幼虫になって

このいきさつを見て

聞いてみようと思う

そう決めたのだ

そんなことを

ふと15分ばかり考えていたら

エアコンの音が僕を邪魔するので

僕はその情景を消してなるかと

そうさ

部屋のすべてのスイッチを切る

が、

僕はもう二度と幼虫にはなれなかった

脳裏には冬の立木が風に揺れていた

地を這うように考えた構図

まるで巨大に形づくられた二枚の落ち葉が

アタマの隅のファイルに保存されることとなり

この詩は終わった

さて

無音の世界で

僕は空虚になり

タバコをふかし

友達に手紙を書くことにしよう

こんなときはジャミロ・クワイか?

踊るリズム

最高のメロディーライン

止まったエアコン

パソコンの小さなファンの音

もう落ち葉の音を聞くこともないだろう

まして

落ち葉のこすれる音なんて

もう考えることもないだろう

落ち葉はそんなこんなで

みんなに忘れ去られて

この地上から

いなくなるのさ

考えてみれば

それは

僕という存在そのものでもあるのだが…

フラッシュマーケティング

世間は不況なので
どんな商売もアレコレ工夫して
頑張っている。

スーパーへ行ってナスなんかぼおっと見ていると
いきなり鮮魚売り場の方から鐘の音が
カランカランと鳴る。

おお何だ?と、顔を上げると
ハチマキを巻いたにいさんが
「サンマがいまから赤字覚悟の50円だよ!」
カランカラン。

みんながゾロゾロと鮮魚売り場へ。
で、サンマが次々にさばけて、
最後は取り合いだ。

あっと言う間に、サンマは完売。

こうした売り方は、ほぼ時間限定。
あなたはとんでもない幸運なときに
でくわしたのです、みたいな。

ネットの世界でも、同じことが
流行ってきた。

時間限定の他、人数や数量も決められていて
その数に達しなければ、
すべては水の泡となる。

なので、売る方も買う方も必死だ。

例えば、ある老舗ホテルが、
高級スイート20部屋を、通常価格
一泊8万円のところを、
時間限定で3万円で売り出したとする。

これをネットで見た人たちが
「こんなチャンスは二度とないぞ!」
という訳で、次々に申し込む。

しかし、15人位で止まってしまうと、
この売り出しは中止となる。

で、今度は申し込んだお客さんも
必死だ。
なんとしてもあの老舗ホテルに泊まりたい。

で、ツイッターなんかでぶつぶつ
つぶやき始める。

で、これを見た誰かが「ホントかよ」
と言うことで、またまた申し込みが増え、
無事20人達成すると、
この商売は成立!

みんな良かったね、ということになる。

この手法は、都内の飲食店なんかで
かなり有効だ。

だって人がいっぱいでしょ。

誰か物好きいるだろう、ですよね?

美容院やエステ、整体院なんかも
この手法は向いている。

こうした売り方が良いか悪いかというのは
意見の分かれるところだ。

お客さんを煽るので、
買う方も冷静に判断しないと
買ってからとか申し込んでから
後悔することになる。

アメリカから上陸したこのマーケティング手法は
現在かなり広がっている。

こうなると、なんでも
定価で買うのが馬鹿らしくなってくる。

世の中みんな値引きなのだ!

建て売り住宅なんかも、
売れ残ると、金利や維持他いろいろかさむので
投げ売りになる。

プライスはすべて、状況で変わるのだ。

例えばだが、
東大卒、身長180センチ、顔まあまあ、
年収1000万円、中肉中背、特技英会話、
趣味ハイキング、性格温厚。年齢30歳、
離婚歴なし。

と、
こうした似たような条件のお兄さんが5人、
お嫁さんを2日間限定で募集すると
どうなるだろう?

例え話に、だいぶ無理があるが、
この花嫁応募は、果たして損か得か?

ここはひとつ、いくら急いでみても
いろいろ予想を張り巡らして
冷静になっても、
結果は全くみえない。

でしょうね?

生身の人間には、どんな最先端の
マーケティング手法も通用しない。

ああ、
当たり前すぎて、つまらない話に
なってしまった(爆)

スパムメール

私の場合、仕事柄
一日あたりの受信メール数は
ざっと300~500通くらいだろうか?
が、そのほとんどが迷惑メール。
いわゆるスパムメールだ。

約10年位使っている古いメルアドなので、
自分の人生と同様、自らの落ち度も多々あるし、
収集ソフトに狙われてもいる歴史も長い。
だから、数も半端ない。

しかし、スパム行為は違法だ。
が、今のところ全く減る気配はない。

敵さんは、違法に収集したメルアドに
一斉にメールを送信する。
まあ、一回あたり何万~何十万通だろう。
これを、一日に何回となく繰り返す。
そのうちいいカモがメールを読んで
その気になり、URLをクリックして、
まさかの個人情報やカード番号を
入力したりしてしまう。

このカモがいる限り、敵は喰ってゆける。
だからスパムは一向に減らないのだ。

スパムの中身はというと、
出会い系やエロサイトに加え、儲かる系、
痩せる系など、ほぼ人の弱みを突いたものばかり。

売れ線はしっかり押さえてある(笑)

一度暇なときに、このスパムメールを幾つか読んでみた。
(なんでも勉強なのだ)

なかなかのコピーテクニックを駆使したものから、
相手のことを何も考えてないアホ文章まで、
そのアプローチとレベルの多彩さに驚く。

イケテルコピーは、もうプロなみだ。
上手い、と思わずつぶやいてしまうのもある。
インチキと分かっていても、
思わずクリックしてしまいそうな名文は、
或る意味凄いな、と感心しきり。

こういう事を仕掛ける連中は、これが
正業なんだろうか?

プロなんだろうな。

タイトルなんかも奮っている。
Reが付いていて、あれっと思ってしまうものや、
「例の件につきまして」や「ご連絡」、
「返信遅れてスイマセン」など、
皆さんなかなか工夫されている。

先日、「お見積もりの件」というタイトルのメールを開いたら、
予想競馬の勧誘だったので、かなりイラっとしたが、
なかなかやるな、とも思った。

スパムのフィルタリングレベルを上げるのも良いが、
仕事柄、先方さんの大切かつ重いデータを
はじき飛ばしてしまうこともあり、
結構セキュリティの絞り方は難しい。

新規スパムでも、或るものは、
数回手作業ではじき飛ばさないとメールソフトも学習しないので、
そのときばかりはゴキブリを追いかけるように、
こちらもちょっとムキになっちゃうね。

それにしても、このスパムを仕込んでいる方々、
あんたの人生楽しいかい?

忙しいのに、なんだか
そんなことを考えてしまう
久々の雨の日の午後だった。

ノマドで、クラウド

最近、喫茶店などで
よくパソコンをひらいている人を見かける。
iphoneやiPadもしかり。
営業系の方をはじめ、学生さん、
そして自営、起業家たちも多いと推測するが、
どこでも仕事ができるというのは、
嬉しくもあり悲しくもあり。
が、今日はその良いところだけの話。

公衆のアクセスポイントも、かなり増えつつある。
マックがその先陣だ。
まあ、回線契約すれば、
いまは、だいたいどこにいても、ネットへ繋がる。
使い放題の定額制も普及しているので、外に出っぱなしの人でも
、場所を選ばず、かなりの仕事がこなせる。

要するに、どこにいても仕事や勉強ができる
環境が整っているので、
オフィスや自宅にこもることもなく、
自分の気に入ったところで、仕事や勉強ができる。

公園やクルマのなかでもOK。

逆に言えば、オフィスなんかいらないのだ。
海辺なんかもいいな…

連絡は、ケータイとメールで済ます。

大切なファイルや、プレゼンなどの資料は、
例えばグーグル上にアップしておく。

で、必要なときにログインしてファイルを呼び出し、
修正したりコンビニでプリントして、
そのまま先方さんと打合せに望む、
なんてこともできる。

いまはこういう方たちをノマドという。
ノマドとは、遊牧民の意。

で、クラウドとはパソコンのハードディスクに
情報を溜めるのではなく、
ネット上にしまっておくこと。

グーグルがその代表例だが、その収納力は半端ではない。

極端にいえば、マイパソコンなんていうのもいらない。
人のパソコンからでも、ネットカフェのパソコンからでも、
その気になれば、自分のファイルは取り出せる。

そんな時代なのだ。

これから、脱サラをしようなんて考えている人にとっては、
いい時代なんじゃないかと思う。

ケータイひとつで飛び回りながら、ひと休みのついでに
見積もりをつくったり、とか。

郵便物やファックスは、仮想オフィスと契約しておけば、
事は足りる。

後は、何をやるか、何を志すか?

私の時代に較べれば、ハードルはグンと低いぞ。

が、やはりやる気、先見の明、そして根気がなければアウト!

元の木阿弥だ。

時代が変わっても、所詮は人のやること。

相変わらずここだけは変わらないんだな~

銀河の旅人

僕はある日
自分が通り過ぎてゆく存在だということを
知ってしまった

通り過ぎてゆく存在

そして
不確かな存在

驚くことに
それは君も実は同じ存在だった
ということだ

唐突な話でゴメン

だけど
これが僕たちの真実なんだ

そう
君も僕も旅人なのさ

君は一体何処へ向かうの?
と聞いたところで
いまのところ
私の質問に
君はまるで
ちんぷんかんぷんだろう

僕はと言えば
もうかれこれ
5億光年の旅をしていると言ったら
君は笑うだろうな

僕の命は
あと3億光年位だと言ったら
君は怒るのだろうか

しかし君は
いつか時空をめざして
旅立ってしまうということを
君自身すら知らない

とりあえず
この話しは
君にはしないでおこう

ただ
僕らはこうやって出会っている

このことは
銀河の向こうの
記憶の泉に
生まれ変わりの物語を
書くために
欠かせないことなんだ

僕が僕であるために
君が君でいることを
忘れないために

そしてお互い
愛で光が満たされるように

この記憶を携え
遠い世界で
再び出会うために

銀河は今夜も輝いているんだ

夏の印象

蝉が泣きやまない寺に

見慣れた顔が集まる

皆 汗を拭きながら

差し出されたお茶で

ひと息つく

エアコンがうなっても

涼しさもない

待合いの和室

どこも

扇子を忙しげに動かす

やりきれない暑さのなかで

テーブルの上に

見慣れた位牌が

すっと置いてある

こんな夏だった、と思う

いろいろなことを思い出しては

その記憶が薄れてきていることが

せめてもの救いなのか

誰もこれといった話題もなく

本堂にそろそろと移り

じっとりと流れる汗を拭うこともなく

皆が座して神妙な顔になる

線香の煙が立ちのぼる

住職のお経は

首の長い扇風機の風に乗って

境内の日差しの中に

消えてゆく

本堂に飾られた曼荼羅を眺め

来年の夏は親父の七回忌なんだな

と思う

親父も暑い日の朝にいなくなった

なぜみんな暑い日にいなくなるんだ

とうばを担いで墓に移動し

そして

墓石の前にしゃがみ込んで

線香に火を点けようと

下を向いていたら

程なく汗が噴き出して

止まらない

最近、夏は嫌だな

と思うようになった

恋のピスタチオ

その魅力的なスタイル

みんながほっとかないね?

ピスタチオ

南国生まれなんだね

なんて日本で魅力的!

僕もあいつもお前の虜

今日も街でお前にアタック!!

なのに切ないピスタチオ

なかなかガードが堅いから

なかなかガードが堅いから

ああ ナッツやピーナッツみたいに

答えてよ

その魅惑の笑顔でひとことOK

それが僕の夢なのさ

それが僕の夢なのさ

塩辛いピスタチオ

殻の固いピスタチオ

今日もコンビニへ出かけるぜ

今日もまとめ買いだぜ

愛してるぜ

愛してるぜ!!

ビスターチーオーーーーーー!!!!!!

※最近、ピスタチオに凝ってます。こりゃ、猿もなかなか食えないだろうな
 なんて思いながら、殻をいちいち剥いてニタニタしています。

確かな日、のために…

明日などというものは

ホントは来るか来ないか

分からない代物だから

僕らはみんな考えてしまうのだ

だから夜明けの眠りにつくとき

僕らは祈るんだ

再び目覚めますように

とね

昨日などというものは

ホントはあったかどうかも

分からない思い出ばかりだから

僕らはみんな考えてしまうのだ

だからふと過去を振り返るとき

僕らは悲しいんだろうな

自分は嘘つきなんじゃないか

とね

たとえ今日という日が

特別な日でなくても

おいしいコーヒーを入れて

かけがえのない本から

とびきりの言葉を選んで

そして

森へでもでかけよう

確かなことは

確かなものは

今日この日

このとき

この気持ち

この空

流す涙

ふと溢れる微笑

そして

風に吹かれて

掴める実体

生きている息づかい

僕らは

ここでしか

生きてゆけないから

そう

僕らの居場所は

今日という日なのだと

思いたいのだ

夢見る人

「男は愛する女の最初の男になる事を願い、

女は愛する男の最後の女になる事を願う」

「流行とは、見るに堪えられないほど醜い外貌をしているので、

六ヶ月ごとに変えなければならないのだ」

アイルランド出身の詩人で劇作家、オスカー・ワイルドの言葉だ。

彼は、こういう言葉も残している。

「社会はしばしば罪人のことは許すものだよ。

しかし、夢見る人のことは決してゆるさない」

犯罪者というものはときに許されるものである。

しかし、夢見る人というのは決して許されない。

あなたが夢を語ると、それは無理だ、とすぐいう人はいないか。

いい年をして夢を追うのはいい加減にしろよ、

などと訳知り顔でいう人があなたのまわりにいないか。

彼らはみな、自分に自信がなかったり、強さがなかったりで、

夢をはるか遠い昔にあきらめてしまった人たちである。

あなたが夢を実現してしまうのではないかと不安を感じ、

悔しくて仕方がないから、ただ足を引っ張っていると思って

間違いない。

「オスカー・ワイルドに学ぶ人生の教訓」グレース宮田 著より

オスカー・ワイルドという人は、神がかり的に、
人生の総てを見抜いていた。
友人、恋人、社会の入り組んだ糸の仕掛けが、
彼にはくっきりと見えていた。

普遍的な言葉は色褪せない。

真実をみつめた言葉は、いつの時代も
変わらない。

天気と気分、
そして政党マニフェストの行方だけは、
いつもコロコロと変わるけどね。

1989夏

木の枝葉の隙間から

静かに花火が上がるのが見える

それは視覚の中でとても小さく

あわれなほど可憐だった

会話を閉じ、じっと耳を澄ましていないと

その音は数秒後にさえ聞き逃す

二人のクルマは喧騒を避け

海から遠い山の中で花火を見ていた

辺りは鬱蒼とした木々に囲まれ

こんな所から花火を見ようなんて物好きは

他にいなかった

ラジオをかけながらエアコンを回す

1986年型のビュイックは、柔な足回りに

頼りないエンジン音をはき出す

虫が多いので窓は少ししか開けられない

湿度の高い夜だった

遠い浜からまた花火が上がる

海の上の漆黒の空に小さな花が咲く

時折目の前の葉が揺れ

そのわずかに見える花さえ隠すこともあり

そんなときはラジオで紛らわすことにした

ちょっと離れすぎたかな?

そうね、ちょっと花火が小さすぎるわ

調度1時間過ぎた頃だろうか

男はビュイックを遂に動かすことにした

クルマは草や枝を擦りながら

山道を走る

幅はほぼクルマ一台がやっとの未舗装道路なので

その道路からの突き上げも激しい

どうしても見たい?

うん

ウィンドウに虫がぶつかる

その度ごとに白いものが残り

視界は益々悪くなる

きっと蛾のりんぷんかなにかなのだろう

ワイパーを動かしウォッシャーを使う

足元からきしみが聞こえる

クルマのドアを擦る枝や草の音がひどくなる

もうラジオは聞こえない

訳も分からず走っていると草木も途絶え

急に視界がひらけて

夜の黒い海と遠くの灯台の明かりが見えた

クルマを止めて外へ出ると

そこは崖の上だった

ビュイックを置いて

二人で崖の端に立つ

そこはやはり誰もいない

ただ風が強く遠くに黒い海が広がっていた

そして崖の斜め遠くの下方に明かりが見え

そこから大きな花火がドドーンと上がるのだった

やったね!

凄い

でもここって何処?

わかんねぇーな

こんなとこってあるんだね?

絶景ポイント

でもなんで誰もいないの?

分からない

不思議ねぇ

花火が上がると

花が黒い海に映る

夜の空が彩られる

ここ、特等席ね

そういうことになるね

花火が終わっても

二人はずっとそこにいた

夜は静まり

ただ強い浜風だけが吹いていた

「冷えてきたね」

「帰る?」

二人はクルマに戻り

生ぬるい飲みかけの缶コーヒーを飲む

キーを回してキュルキュルとセルモーターが唸る

突然ラジオから激しいロックの音が響き渡る

「あっ、そうだ」

「なに?」

男が無造作にGパンのポケットから

何かを取り出すと

女の手を取り真顔になった

「なに、それ?」

「いや」

「なに」

「一緒にならないか、俺たち」

男は女の手に指輪をはめた

女は指輪をじっとみつめていた

「一緒になろう」

「………」

女の目が潤んだ

静かな漆黒の海に

灯台の明かりが規則正しく回る

「ありがとう」

女はずっと下を向いていた

「俺って駄目だと思うけれど

なんかそう、もっとうん頑張るよ」

ラジオの音に負けないように女が言う

「いまだって充分頑張っているじゃない」

男が女の髪をなでる

「こういう海の見える所に

いつか家を建てたいな」

「そうね、海いいわね」

フロントウインドウの向こうに

いつの間にか上弦の月が出ていた

古いビュイックが草むらをUターンする

女は窓を開けて腕を外に伸ばす

風が車内を吹き抜ける

指輪を夜空に向かって高く照らすと

暗闇のなかでそのリングが

一瞬何かの光を浴びて

キラリとした

男もそれを見ていて

「さっきの遠い花火みたいだな」

と言った

「そうね」

真夜中のビュイックは

今度はゆっくり慎重に動き始め

暗くて細い雑木の中を照らして

静かに走り出した