夏休みに
母と八百屋で
苺をひとかご買った
帰り道に
突然の夕立
怖くて怖くて
ふたりで手を繋いで
夢中で走って
雨が絞れる程濡れて
帰った
途中で
苺がころころと
いくつもいくつも転がって
それが
雨粒の跳ね返りに紛れたのを
いまも覚えている
家に着いて
かごを覗くと
苺はほんの数粒しかなかったけれど
母は笑いながら
「雷さま怖かったね」と言って
手ぬぐいで
僕の頭や顔をごしごしと拭いて
抱きしめてくれた
僕はほっとして
母をじっと見ていた
幼い頃から
ずっと
母は永遠の人だと思っていたのに…