一枚の絵

遠くにポカンと浮かぶ雲を

思いつきでふたつほど描き

手前の海岸線に人影をひとり

白い砂浜が広がり

その向こうの青い海を描くため

水平線をペンで引く

空もやはり青がいい

青い海と空

水平線を境に

上と下の絵ノ具の色に迷い

どこまでも似た色のような気がしたので

同じ色を選んで筆を運ぶと

海は主張し空も主張するので

僕は次第に水平線をあきらめて

思うがままに描く

できあがった絵は

人影に雲がふたつポカンと

後は一面の青い世界に仕上がった

遠近法も何もない描き方だったので

不思議な青い絵ができあがっただけで

一見とても下手なつまらない絵だった

思えば

僕は海も空も大好きなモチーフなので

どちらも同等に考え

想い

同じ素敵なカラーを選んだに過ぎない

海も空も

僕のなかでは同じように青く

それは命のように尊い青だった

そこに嘘はなく

人影は僕で

雲は過ぎ去った僕の想い出

そう言いたかっただけなのだ

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