空は高く
そして広がって
季節が移ろうとしている
乳白色の突き放す光りが
オレンジがかった陰りあるものへと変化し
皮肉なことに
まるで世界が突然
穏やかにでもなってくれたかのようだ
誰もいない公園
都会の交差点
ビルの窓から
こんな日だから
人は久しぶりに
哲学なんぞを準えるのだろう
ススキに赤トンボ
生きている儚さとか
胸いっぱいにひろがるやすらぎとか
人の想うことって
大きな空に吸い込まれるから
秋の日は
道行く人の視線さえやさしく
誰も内面をなぞるように
コツコツと歩いてきた道を
これから歩くであろう彼方を胸に抱いて
冷えた風にシャツの襟を立て
ふと思い出したように
通りの隅で
ちょっと立ち止まるのだ