○○仲間に関するレポート

それを仲間というのか、

甚だ疑問ではありますが、

最近新しい集団を発見致しまして、

その様子をご報告したいと思います。

が、その前に仲間というのは如何なるものなのか?

この定義は難しいのですが、とにかく仲間たちは、

最近、富に広範多岐に広がりをみせ、

各各が寄り添う傾向を示しております。

仲間やコミュニティづくりは現在全盛でありまして、

人々は何かに付け、集うのであります。

それは、例えば仕事や趣味だったり、

性癖他、いろいろですが、

要は集まってそこのライブ感を満喫することにより、

仲間意識は更に深まるものと思われます。

そこで得た知識や情報はお互いの共感を呼び、

ステップアップも望めるのであります。

とにかく人は集う生き物なのです。

また、ネットの世界も例外ではありません。

バーチャルではありますが、

ネットは元々仲間で集うのに適した環境であり、

昼夜を問わずいろいろなコミュでは仲間が集い、

熱く語り合っております。

で、ここで本題です。

最近、私が目撃した集団なのですが、

こういうのは果たして仲間なんだろうかと?

その幾つかの例をご報告致します。

○マッサージチェア仲間

地元の有名電気量販店で遭遇したのですが、

ずらっと並ぶマッサージ・チェアにみんなが気持ち良さそうに座り、

絶対に立ち上がる気配もなく、ずっと語っている集団がおりまして、

見るからに彼らは初対面ではなさそうに見えます。

最初は気がつかなかったのですが、その店に何度か訪れる度に、

ほぼ同じような人が、マッサージチェアに座り、

並んでくつろいで語りあっている。

ほほぅと、私は思いましたね。

で、観察していると、後から来た仲間らしき中年に、

みんなが一斉に「いよっ、今日は遅いじゃん」と発したとき、

私は確証をもちました。

その仲間は、ほぼおっさんで構成されていますが、

何故かギャル風の子も混じっているのが印象的でありました。

話題は天気概況とか今朝のニュースの話題の他は、たいした話題もなく、

特に健康に関する話が皆無だったのが印象的でした。

彼らがどんな仕事をしていて、いやしていなくとも、家族とか

何処に住んでいて毎日なにをいているのか気になるところですが、

見たところ、彼らにそうした会話は一切なく、今日もきっとあの店の

マッサージチェアで集っているのであります。

○パチンコ敗退仲間

或る公園に、いつも5~10人が集まっていて、私は前々から、

あの人たちは何の集まりだろうと思っていまして、

その日もたまたまその公園のベンチで手帳を付けておりました。

で、気がつくとこの人たちが集まっていて、

自然と会話が耳に入ってくる訳ですが、

その話題はとにかくパチンコ台に関する話一辺倒であり、

如何にその台が駄目か、その台のつくられた背景から、

台に関する事細かな情報ほか、とにかく、そのすべての話が、

駄目なパチンコ台の話にフォーカスされておりました。

メンツは主に中高年のおっさん。が、たまに若いのやおばさんも

混じっていて、

印象としてはみんな一様にダルそうな表情をしていました。

働けよ、とつまらない突っ込みを口走りましたが、

まあ誰しも事情のようなものがあるので、

私は、島倉千代子の人生いろいろという古い歌を口ずさんで、

その場を去りました。

○バーゲン仲間

とある居酒屋で、私と友人が語っていたときの話ですが、

いや、

私はいま酒が飲めないのでウーロン茶を飲んでいました。

そこで隣り合わせたおばさんの集団の話題がまたまた

耳に入ってしまい、気が散って困ったことがありました。

で、その内容から察するに、このおばはんの面々は、

或るバーゲン会場で偶然遭遇した間柄らしく、

どうも、お互いの名前も住んでいる場所も知らない様子。

で、どういう訳でこの人たちがここで酒を飲んでいるのか、

その経緯を話す一人の威勢のいいおばさんの話が聞こえたそのとき、

店の女の子が「今朝、三陸から取り寄せた新鮮な鰹が

お安くなっておりますが…」の売り込みにかき消されてしまい、

とても残念な結果に終わってしまいました。

以上、三つ程の報告をさせて貰いましたが、

この例が果たして仲間なのかという疑問が、

私のなかでふつふつとわいて参りまして、

ちょっと考え、結果、

こういうのもアリとの結論に至りました。

とにかく、人は集うものなのでありまして、

その瞬間瞬間に生きている証なんぞを

欲しがる生き物なのかも知れません。

何処に住んでいるのかとか、なんの仕事をしているとか、

まして家族構成やその人の過去など、

考える私が野暮というものです。

そして、

そうだ私も○○仲間を探しに出掛けよう、

そんな結論に至ったのであります。

「○○仲間に関するレポート」への2件のフィードバック

  1.  
     
    いやぁ、こういう話はうまいですねぇ!
    スパンキーさんの人間観察力の鋭さと、それを面白い話に仕立てる構想力の確かさが、見事にひとつの 「物語」 に結実したようなレポートですね。
    考えてみれば、「仲間」 って、非常に奇妙な集団ですね。
    「家族」 でもないし、「組織」 でもないし、かといって 「友だち」 でもないし、適度に無責任で、気楽で、面白くて、なんともいえない自由な結合ですよね。
    マッサージチェア仲間、パチンコ敗退仲間、バーゲン仲間。
    とりあげる対象がまたユニークです。いい観察眼をお持ちだなぁ、と感心します。
    テーマの濃いマニアックな仲間もいれば、偶然その場に居合わせた者同士の連帯感によって生まれる仲間もいる。
    それを面白く描き分けることによって、人間存在の不思議さも浮かび上がってくるという構成になっていますね。
    ジャーナリストとしての嗅覚も、全然衰えていないですね!
     
     

  2. 町田さん)
    年をとる毎に、気色とか人とか、
    なんでも観察してしまう癖が、さらにヒドクなりまして、
    こういうレポートを書くに至りました(笑)
    おっしゃるとおり、仲間を突きつめると、
    私自身よく分からない。
    定義をつくろうと思ったのですが、上手くいかない。
    で、あの集団はなんだろうと考えるに至りました。
    これが、町田さんのいわれる、ジャーナリストの嗅覚でしたら、
    ホントに嬉しいとは思います。はい
    コメント、ありがとうございます。

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