春景色7題

雪柳

春に小さい白い花を咲かせる雪柳。

暖かい陽ざしに決して溶けたりはしない、ユキヤナギ。

 

 

雲は流れる、時も流れてゆく。

ああと感嘆詞の瞬間さえ、遠くへ遠くへと消えてゆく。

 

 

水辺

水辺は季節を映す鏡。木々を空を水鳥を描く。

けれど、君の考えていることは、まず映さないからね。

 

 

不吉

とても美しい日暮れに身体を抜ける心地よい風。

出来過ぎた一日…つい良くないことの前触れかと勘繰ってしまった。

 

 

朝もや

朝もやのなかを、テクテクと歩いている酔っ払いがいる。

そこには、爽やかなズレのような空気が生じている。

 

 

お祭りに使う造花なんじゃないかと思うほど、過剰なきらびやかさ。

ソメイヨシノって、自然な不自然で咲いている自然の造花物。

 

 

桜山

満開なのに誰も見に来ない。無風。鳥の声も止んで。

この桜山は、有史以来ずっと孤独でした。