不思議な一日

霞がかかった秋の日の朝は

まるで春を思わせる のたりで

ちょっとあったかいのがうれしい

足は山へ奥へと進んでゆく

紅葉した葉に生暖かい風が通りすぎる

不思議な朝だった

霞は薄いカーテンのように

通り過ぎるとひとつひとつ

目の前の世界は変わり

林のなかの窪みにできた池に

小さな人間が泳いでいた

背の高さはざっと見たところ60センチ位だろうか

白い髭を顎にたくわえた禿げた老人だった

カラダに白い布を巻き付け

それが水に濡れて弛んでいるように見えた

彼はじっとこちらを睨むような顔をしていたが

私が「こんにちは」というとほっとしたような顔をして

白い歯をみせた

「どこから来たのかな?」

池の水で顔を何度か洗いながら

こちらへ近づいてきた

「えっと、そのぅ、気持ちの良い朝だったので
ついふらふらと家を出て裏山を歩いていたら
えーっとここに来ていました」

「ほほぅ」

「失礼ですが、おじいさんはここで何をしているのですか?」

髭をさすりながら彼はほい来たと言う顔でこう言った

「わしはこの山の精霊じゃよ。知らんのか?」

つづく

「不思議な一日」への3件のフィードバック

  1. あぁぁぁ…最後の「精霊」というキーワードで、私の頭にはティンカーJが。
    すいません、ニヤニヤしながら読みなおしてしまいました。
    どんな話が展開されていくのでしょう☆
    つづき、楽しみにしています♪

  2. ほぉー!
    これはメルヘンとして展開するのでしょうか、それとも現代社会を風刺するような寓話に発展するのでしょうか。
    いやぁ、面白いスタートですね。
    出し惜しみしないで、早く次の話を掲載してください。
    いずれにせよ、ツカミはばっちり。
    いよいよ 「作家スパンキー」 の誕生ですね。

  3. chiaki さん)
    あまり期待しないでください。ホント、あまり考えてないんですよね!これからどうしようかな?というのが本音です。参ったな!
    どうしたら良いと思います?
    町田さん)
    上のコメント通りです。私、プロットとか結末とかあまり決めないで書くクセがあるんですよ。
    ダチョウ倶楽部みたいにツカミだけかも知れません。
    決して出し惜しみしてる訳じゃなく、先がまだ未定なだけです。
    スイマセン!

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