日付変更線 (story3)

前号までのあらすじ

(南の島で、バイクが
エンジンストップ!

ホテルまではもう少しなのだが
辺りはみるみる暗くなってくる始末

僕は途方に暮れる

そこに1台のピックアップトラックが
現れて僕は救われる

助けてくれたドライバーのジェニファーは
美人だ

僕は彼女を島のレストランへ誘い
OKを取り付けた)

ホテルの内庭に入り

バイクの持ち主の島のボーイを呼んだ

「やはりトラブルか」

彼は笑いながら、この故障はしょっちゅうだし

今度直そうと思っていたことを

話してくれた

「申し訳ない」

彼に素直に謝ると

そんなことはどうでもいいじゃないかと

言ってくれる

お礼になにかおごるよという僕の申し出に

じゃあ飯でも食わないかと言う

「OK、そうしよう!」

彼は興味深い話を僕に話した

例のジェニファーは、もうかれこれ1年も

この島にいるらしい

そして、ジェニファーを追いかけてきた彼というのが

サンディエゴでも指折りの弁護士だったこと

しかし、いまは仕事もリタイアし

ふたりでこの島暮らしだが

そろそろ彼氏の方が

国に帰りたがっているというのだ

僕はボーイに笑って返した

「そりゃそうだろう、この退屈な島に

そんな奴がいつまでも居られる訳ないよ」

しかし、話はその後が面白かった

ジェニファーは、元々ニューヨークの出身で

バリバリのキャリアだったが

勤め先の広告代理店で大きなヘマをやらかし

サンディエゴへ飛ばされた

で、

失意の彼女をあるパーティーで見初めたのが

彼だったらしい

そして、付き合い始めたのはいいが、

彼の几帳面過ぎる性格を知ったジェニファーは

奴に嫌気がさし、

最後はノイローゼ寸前だったらしいと言うのだ

その彼女を追いかけてきたのかい?

「そういうこと」

ジェニファーも辛いだろうね?

「彼は必死さ、しかし、もうそれも限界らしい」

「ふーん、その彼女と明日約束を取り付けたぜ」

「どこで?」

「島の突端にある、カープレストラン」

「大丈夫なのか?」とボーイ

「何が?」

「彼氏さ」

「関係ないでしょ、オレは彼女に

お礼がしたいんだ、それだけさ」

翌日は、朝からコテージに閉じこもり

じっと内海を見ていた

海面に一筋の線がすっと表れて

何かが泳いでいるようにもみえる

ガイドのポポが言うには

あれは魚ではなく

ワニだという

「海であんな奴とは出会いたくないなぁ」

「大丈夫だよ、ここのワニは人は襲わない」

「そう…そうだった」

つい先日の会話を思いだしていた

陽射しの傾く頃に、僕はようやくシャワーを浴びる

海からの夕風が気持ちいい

ブルーのポロシャツとコッパンに着替えると

パスポートと現金とキーを手に

コテージを出る

階段を駆け下り

天井から羽根が回る

いかにも南国というような建物に入り

フロントにキーを預けて庭に出ると

予約してあったTOYOTAの小型車で

コロールへと向かった

(つづく)

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