物語の途中で詩を思いつきまして…その2

「WORLD ORDERを聴きながら」

ウチの親父は元サラリーマンで

朝は毎日6時にピタリと起きて

同じ味噌汁の具に飯を一膳半喰うと

7時20分のバスに乗って会社へ出掛け

たまの休みの日には釣りへ行き

そうだったね、

黒縁のメガネが似合っていたねって

最近お袋に話たら

あれはね、他の女のお気に入りだったのよって

ふ~ん、なんだい? それって

その頃の日本は景気が良くて

親父は会社の金を握っている立場だったので

寿司屋の折り詰めをよく持って帰って

「貰ったゾ、また貰っちゃった」ってね

でね、

僕の叔父はね

元商社マンでとてもカッコ良かったんだけど

いつも世界の何処にいるのか分からない

いまロンドンだよとか

ニューヨークにいてねとか

電話をかけてきて

帰国すると必ずウチに寄って

いろいろなおみやげをくれたけれど

あるとき叔父がお袋の前でボロボロ泣いてて

それで突然会社を辞めて

叔父は奥さんと別れて

世界放浪の旅とやらへ行っちゃってね

いまは生きているんだか死んじゃったんだか

全くの行方知れずで…

それで僕は思うんだけれど

なにが嘘か真実なのか

いまも分からないけれど

とりあえずは働いて

金を貯めたら

この日本を出ようと…

それが良いのか悪いのかはどうでもよくて

全く違う価値観の人たちと

まだ日本人が知らない場所で

ただゆっくりとした静かな時間のなかで

自分の仕事をつくって

自分をみつめようと

それはね

本当の自分の姿がみえる

そんなところで

真実の声が届くような時間のなかで

じっくりと暮らしたいなと…

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.