初恋

かいがらを拾って

耳にあてると

遠い日の音がした

ずっと水平線のあたりを

ながめていたら

遠い日のあの日がみえた

僕はドキドキしながら
手の汗を制服の裾で拭いて
そっと確かめるように
君の手に触れてみた

君がうつむいて
みるみる顔が赤くなる

なんだかゴメンね

春の田園はのどかで
小川のせせらぎが聞こえていた

分かれ道までいくと
さよならをしないといけないので
僕と君は
ゆっくりゆっくり歩くんだ
いつもいつも毎日毎日

あたりにいっぱい咲いていた
レンゲ草の色が風に揺れて

そして
僕は君の長い髪の先に触れてみる

うつむいて、また赤くなって
そしてふっと笑って

君はもう天使なんじゃないか

モンシロチョウが不器用に
のんきにひらひら飛んでいて
霞がかった遙かむこうに
山の桜がぼんやり色づいていた

あのきもち、あの心。

かいがらを拾って

耳にあてると

遠い日の音がした

ずっと水平線のあたりを

ながめていたら

遠い日のあの日がみえた

by鎌倉にて

「初恋」への4件のフィードバック

  1. これ実話ですか?(*^_^*)
    読んでて、私までポッてしちゃいましたw
    いぃですよね☆
    こぅゆぅの!
    見つめられるだけでドキドキしちゃったりとか、ニヤニヤしちゃったりとか…私だけ?w
    さよならしたくなくて、ゆっくり歩いたり遠回りしたりする気持ち分かりますw

  2. ちょっと脚色しましたが、ほぼ実話です。学生時代、相手はウチの奥さん!でないとまずい?でしょ。こういう気持ちがなくなると、いよいよ老人になってしまいますので、背伸びをしているスパンキーです。

  3. 最近、同じ題名で日記を書いたんですけど…
    すごいなぁ。なんなんでしょう、読んだ後のこの気持ち。
    その光景や空気、二人の気持ち、表情までが鮮明に伝わって…
    こういう気持ちって、何年経ってもココロが覚えてるんですよね。
    それをこんな風に表現できるなんて、すごいなぁ。
    感動しました!

  4. chiaki さん>
    コメント、ありがとう!
    外見はおっさんでも、こういう純な気持ちはいまでも覚えているものなんですね。
    自分でも不思議!
    きっと人生のなかの濃密な時間ていうのは、そんなにないと思うんですよ。だから必死に生きる。それが想い出になる。
    chiakiさんも想い出をつくりなさい!

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