拝啓 元気です!

いまの俺が親父に初めて

ホントは親父の事

好きだったんだよと言った。

それを聞くと親父は俺に近づいてきて

俺のアタマに手を乗せてくれた。

その瞬間に俺のカラダは急に小さくなり

小学生の頃の俺に戻っていた。

ああ、やっと言えた。

小学生の俺は泣きじゃくっていた。

朝方にふっと目覚め

いまのは夢だったのかと

ぼぉっとしていると

今度はホントに

涙が止めどもなく流れてきた。

まだ眠いのに

涙が止まらない。

オヤジ、いるんだろって

思わず口走ってしまった。

永年の確執があって

俺とオヤジの仲はうまくなかった。

小学生の頃から

オヤジは俺を無視していた。

俺はオヤジを避けていた。

いろいろなものが絡み合い

男同士の話なんていうものも

遂に最後までなかった。

だからなにも解決なんかしてはいない。

だけど、いまはオヤジの気持ちが痛いほど

よく分かる。

オヤジも俺のこと、見抜いていたんじゃないのか?

オヤジが死んで四年強。

あの日

オヤジはあの世からやってきて

俺と話そうとしたんだろうな?

ホントの気持ちが言えて良かった。

伝えたいことは思い切って

伝えなくては。

心底そう思った。

いま、俺は息子と娘を育てている。

決して同じ繰り返しはないようにと

いつも考える。

考える。

だって

オヤジの孫だもんな!

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