さあ、出かけよう! (旅の考察)

 

旅行する機会が減りましたね。

不満が溜まります。

皆そう言う。

ボクもそう思う。

 

人にとって、

旅行は欠かせないものである。

なぜなら、旅行で得られる非日常感が、

日頃のマンネリから解放してくれるからである。

 

という訳で、人には時おりでも非日常がないと、

どうもうんざりしてしまうイキモノらしい。

だから、移動というイベントをやめないのだ。

 

以前、本屋でこんなタイトルの本を目にした。

「旅するように生きる」(作者は不明)

なんか格好いいんですよ、題名がね。

で中身はというと、これが分からない。

なんせ買ってないから。

 

本の帯にはこんなニュアンスのコピーが書いてあった。

―幸せに生きる極意が満載!!―

こういう売り文句に弱いんですが、

この手の本ってだいたい内容が薄くて、

ペラペラなものが多い。

で買わなかった。

けれど、いまさら気になるな。

 

とここで気づいた方もいると思うけれど、

話は旅行ではなく「旅」に移行している。

微妙にスライドしている訳です。

 

旅行も旅も同じじゃねぇ!

との声も聞こえますが、

どうもこの両者には、

いろいろと違いがあるらしいのだ。

 

端的な違いとして、

「旅行」はまず目的地があって、

そこで楽しむのが主であり、

日常を離れて新たなものに触れたりするもの等、

予定調和的なものであるらしい。

対して「旅」は自分でつくるもので、

不確定要素を多分に含み、

その道程に於いて自己を高め、

冒険的要素もある、ということらしい。

 

らしいとは他人事のような書き方だが、

調べると概ねそんなニュアンスなのだ。

 

海の向こうでは、

旅行のことを「トリップ」とか「トラベル」と訳し、

旅を「ジャーニィー」と訳しているんだそうな。

その違いだが、「トリップ」とか「トラベル」は、

比較的短期間で目的のある旅行、

対して「ジャーニィー」は目的までのプロセスを重視し、

そこでの体験から得られるものがある、

または自己成長があるもの、となる。

 

まあ、旅行は自己を解放して楽しむ、

旅は、困難を通して自己を高める、

そんな違いがあるのではなかろうか。

 

旅の話は続く。

 

旅というものを時間軸で捉えると、

私たちは絶えず「時」を移動している「旅人」とも言える。

 

人はひとときも欠かさず、時間の旅を続けている。

そういう意味に於いては、

私たちの人生そのものが、

「旅」なのだとも言えてしまう。

 

こう考えると、

人にとって「旅」は意味深である。

 

時間の旅人か…

 

たとえば仏教に由来する教えに、

「旅」とは、あの世からのきた人が

この世を旅することであり、

この世の生きる姿は

通りすがりの旅人の姿、

ということになるらしい。

 

これはボクが要約したので、

多々間違いがあるような気もするけれど…

 

その旅についてさらに考察すると、

人はいったい次元の異なる旅をするものなのか、

旅の最終は宇宙の果てなのかとか、

興味は果てしなく尽きることがない。

まあ、いくら頭を捻ったところで、

どうにもならないけれどね。

 

さて、冒頭の旅行の話から始まって、

かなりぶっ飛んでしまいました。

けれど、さらに旅の話の続きを、

もう少しだけ。

 

私たちはいわば、

同時代を生きている旅人であるということ。

同時代に生きている関係性って、

なんだか感動しませんか?

それは偶然ではなく、

ボクは必然のような気がしてならない。

 

(「旅人」であるボクたち私たちのどこかに、

潜在的に組み込まれた旅のプログラムがある…)

 

私たちはみな、ライフトラベラーであり、

同じツアーの同伴者なのだ。

さてこのひとときも、旅の途中。

 

おおいに楽しもうではないか。

 

 

アウトドアで年を越したら…

 

家庭の事情により、若い頃から

年越しはほぼ外で過ごしていた。

(少し不良だった気がするけど)

 

初めて外で年を越したのは中学2年のとき。

学校の友達と二人で川崎大師に行った。

 

京浜急行の川崎大師駅は人で溢れていて、

朝のラッシュアワーと変わらない混み具合。

お寺までは、夜店や屋台がひしめいていて、

とても夜中とは思えない賑やかさだった。

 

ぞろぞろと歩いてようやく行列の最前列。

そこには巨大なさい銭箱があって、

白い布が敷いてある。

100円玉、10円玉、5円玉がどっさりとひしめいている。

そのなかにお札が幾枚もひらひらしていた。

 

あっけにとられてまごまごしていると、

後方からお金がビュンビュンと飛んでくる。

僕は大きなフードの付いたジャンパーを着ていて、

そのフードのなかに

お金がどんどん入ってくるのが分かった。

 

後で屋台のうどんを食いながらフードをのぞくと、

なんとお札も入っていたので、

このお金で横浜駅までタクシーで

帰ろうということになった。

うどんは自前で払った。

 

国道に出て、さてタクシーを拾う段になると、

僕と友人はなんだか急に後ろめたい気持ちになった。

そして、そのさい銭について話し合うこととなった。

 

話の内容はざっとこんなものだった。

このさい銭を投げた人たちのなかには、

必死の思いで年越しで願掛けにきた人たちも

いるのではないか。

そのお金を大師さんに届けることなく、

タクシー代に使ってしまうのは、どうも罪が深い。

これでは罰当たりになってしまう…

 

ということで、

二人はとぼとぼと川崎大師に舞い戻り、

再び行列に並んで

さい銭箱にそのお金を投げ入れた。

 

なんだか時間だけが過ぎてしまい、

時計をみるとすでに午前2時をまわっていた。

駅に行くと電車はすでに止まっていた。

しようがないので二人は横浜をめざして

国道を歩きはじめた。

 

横浜に着く頃には

夜が明けて電車も走り始めるだろうと、

あまい推測で歩いていたが、

国道に吹く海風があまりに冷たくて、

僕らの身体は冷え切ってしまい、

くたくたになってしまった。

 

お互いに話す気も失せてしまい、

だんだんもうろうとしてきた。

 

歩く体力も気力もなくなり、

僕たちはガードレールにもたれかかって、

途方に暮れていた。

 

と、一台のトラックが止まってくれた。

「ヒッチハイクしているのか?」

「いや、まあそんなもんですが」

「どこまで?」

「横浜駅までです」

「通るから乗せてってやるよ」

「ありがとうございます。助かります」

 

偶然というべきか、ラッキーなことって

起きるものなのだと思った。

 

そして相手がどんな人か疑いもせず、

僕たちは極度の疲れからか、

クルマに乗り込むと即、眠り込んでしまった。

 

「君たち起きなさい、横浜駅に着いたぞ」

あわてて僕たちは目を覚ます。

 

そしてそのドライバーさんに

深くお礼をいって駅をめざした。

 

始発が出るまで僕たちは、

プラットフォームで再び眠り込んでしまった。

 

という訳で外での年越し初体験は、

思わぬハプニングに見舞われた。

 

この一件で僕のなかでは、

後のいい教訓となった。

曰く、もう少し計画性をもてと。

 

その後、箱根の強羅付近を歩いていて、

年がかわったことがある。

また河口湖のスケートリンクで年を越したこともある。

いずれも酷寒だったけれど、

前もって防寒服と食料と飲料を準備していたので、

楽しく年を越すことができた。

 

エネルギーが溢れていた頃だから、

何かをしないではいられない。

そんな気持ちも、

外での年越しを後押ししていたような気がする。

 

にしても、さい銭泥棒にだけには

ならなくて良かったと思っている。

いまさらながら。

 

葉山の空とリゾート

 

湘南を一望できるスポットはいろいろあるけれど、

大磯あたりからだとやはり高麗山の展望台だろうか。

ここはかなり高いので眺めるというより

遠景を見下ろす感じになる。

 

藤沢はいいスポットが思い浮かばないけれど、

鎌倉まで来ると山が多いので、

幾つか眺めのいいスポットがある。

 

鎌倉プリンスホテルが建つあたりから、

晴れた日の富士山をバックにした江ノ島は、

なかなかの絶景。

サンセットの時間帯は海も空もオレンジ色に染まって、

ただボーッとしているだけで心地いい。

 

私の友人Aの話によると、湘南の眺めナンバーワンは、

逗子の披露山からの眺めだとのこと。

「それは見事だぜ」と興奮気味に話していたのを思い出す。

また別の友人Bによると、葉山の日影茶屋の近くの、

要するに葉山マリーナあたりからの景色が絶景と、

先日の電話でやはり興奮気味に話していた。

 

僕は先日、葉山の山の上からの景色はどうなんだろうと、

足を運んでみた。

そこは僕たちが若い頃は道もなかったような山深いところなのだが、

いまは広いアスファルトの道が山頂まで続き、

国や民間の研究機関をはじめ、大きくて近代的な建物が

点在する。

広大な公園や宅地まである。

 

山のてっぺんに広い駐車場があって、

そこにクルマを止め、

だだっ広くて何もない草場を歩く。

しかし、

「うん、ここからは海が遠すぎるし、

絶景とは言えないなあ…」

ここより、いま来た道の途中からの景色が、

絶景だった訳だ。

 

 

しかし、ここからの空の眺めは、

なかなかの一級品だった。

山頂なので空を遮るものが何もない。

季節もよく、空が近く感じられた。

空に適当に雲が配置されている。

 

 

 

 

湘南からの空の絶景は、ここに決定した。

近くに一戸建てがポツポツと建っている。

ここらの家は皆一様に敷地がとても広くて、

建物もデカい。

SUUMOで中古価格をチェックしてみたら、

1億前後の物件であることが判明。

 

どう考えてもかなり不便なのに、

こんな価格で取り引きされているのは、

やはり湘南だからということか。

 

僕はここを早々に引き上げ、

海に下る途中のホテルで、

軽い食事とコーヒーをいただく。

 

もう薄ら寒い季節なのに、

このホテルのまわりには椰子の木が

生い茂っていて、

中庭には水をたたえたプールが、

夕刻にはライトアップされていた。

そこだけに焦点を絞ると、

ハワイにいるんじゃないかとの

錯覚さえうまれそうだ。

後日ネットで調べたら、

このホテルは、ときおり撮影とか

テレビドラマなんかにも使われるとのこと。

 

 

湘南恐るべし。

この地は、やはり他とは何かが違うと思わざるを得ない。

ここでは何をやってもどこへ行っても、

まあまあサマになるのであった。

 

キャンプへGo!

 

 

キャンプへ行ってきた。

陽気は暖かくなってきたが、

夜はまだまだ冷える。

よって今回はキャビンに宿泊。

エアコンもトイレもシャワーもある。

テレビやネットはないけど、

かなり柔(やわ)なキャンプではある。

 

河原テント派、山中独りキャンプ派から、

笑われそうである。

水際の底冷えする河原で

テント張って寝るのって、

この時期でもかなりキツい。

山中独りキャンプ派となると、

もうこれは一種、

選ばれしキャンパーと言える。

 

河原…、砂浜…は若いころに経験しているが、

独り…はどうしてもできない。

やる勇気もない。

 

私の場合、理由は明快だ。

お化けが出るから!

それも獣系。

ね、怖いでしょ。

私はそういうのには近づかない。

こういうのは若いのに任せよう。

いや、感度の鈍い奴に任せよう。

 

こっちは、霊体験もUFO遭遇も

すでに体験済みなので、

ほんと、もうゴメンです。

1万円あげると言われても断りますね。

 

で、今回のキャンプですが、

場所は、神奈川県相模原市にある

PICAというキャンプ場。

ここはトレーラーもテントもオートキャンプもOK。

キャビンにした理由は、

その設置場所が山のてっぺんにあるから。

そう、見晴らしの良さで決めました。

当日、昼間の下界は20度以上の暖かさだっが、

夕方、ここ山のてっぺんで火をおこすころには、

強風で気温がぐんぐん下がり、

とうとうダウンを着る羽目に。

気温は一ケタに急降下していました。

寒くて腹が減っているけれど、

自分が動かないことには何にも食えない。

それがキャンプなのです。

 

とにかく最短で火をおこすため、

紙切れと割り箸と着火剤を用意し、

まず薪に火をつけることに専念する。

で、徐々に炭を投入し、

火が安定するまでじっと頑張る。

こちらは肉を食いたくてウズウズしてる。

腹が減っている。

が、ここが正念場だ。

落ち着いておいしくじっくり焼こうと、

急いた気を静めながら、

ときに星空を見上げたりしてみる。

火の粉がガンガン飛んでくる。

まだ炎が不安定だが、肉を1枚焼いてみる。

やはり気が急いているなぁ。

予想通り、コゲコゲの失敗作ができあがる。

ああ、普段は食わない高価な肉が…

 

ここはひとつオトナにならねばと、

やっと我にかえり、火が安定するまで、

今度こそじっと耐えることにしましたね。

おかげで、肉、野菜、ホタテ、焼きそば等々、

お馴染みのコースをじっくり焼いて、

おいしく平らげることができた。

近くで、若い2組の子連れ夫婦が、

下界に向かって何か怒鳴っている。

ずっと大声を発している。

相当、酔っているらしい。

にしてもあいつら、

日頃から相当ストレスを溜め込んでいるなぁ。

笑える。

 

以前、ここのトレーラーに泊まったことがある。

12月初旬だったが、寒くて夜中に目が覚めた。

それに較べると、キャビンは快適だ。

が、一般の住宅のような仕様ではないから、

やはり寒いには寒い訳だ。


夜半、風が凪いだので、

表に出て空を見上げると、

オリオン座が明るく瞬いている。

それも近く大きくみえるではないか。

ちょっと感動する。

 

これだけでも来た甲斐はあった。

今回はわずかな時間だったけれど、

仕事のことはすっかり忘れました。

観てもつまらないテレビもないので、

読書に専念することもできました。

 

キャンプで非日常を体験すると、

日頃の生活の便利さが身に沁みます。

なのにストレスが吹っ飛びます。

心身に生気がみなぎります。

日頃のこびり付いた垢がとれます。

そして、本当に疲れます。

おかげで翌日からさらに深ーい眠りに

つくことができました 笑

さあ、あなたもキャンプへGoです!

 

 

神奈川、天空の丘

海岸線の長い湘南だが、

葉山、鎌倉、江ノ島、茅ケ崎を過ぎて馬入川を渡ると、

平塚、大磯、二宮と続く。

このあたりは割と地味な印象を受ける。

海岸沿いは西湘バイパスがどんと横たわっているし、

大磯や二宮は市ではなく町だけあって、

人口も少なく、静かでのったりとしている。

 

大磯は、吉田茂がこの地に住んだことから、

一躍有名になった。

その旧吉田茂邸は、いまでも健在。

国道一号線横の松林の間にどんと存在している。

もちろん、見学もできる。

 

その大磯町の背後に鎮座しているのが、高麗山。

この一帯は湘南平と呼ばれている。

背後の平塚は延々と平地が広がっっているので、

この高麗山だけが飛び出しているように思える。

いわば、神奈川の臍ともいうべきでっぱりで、

不思議なその地形は存在感がある。

 

古くは信仰の山だったそうだが、

いまは電波塔としての役割が強い。

東京タワーからの電波を受け、

神奈川の山間部へUHFを飛ばす。


てっぺんまで登ると、

と言っても車で行けるけど、

程よく整備された公園になっていて、

展望台や、売店もある。

展望台の上のほうには、

鍵のモニュメントがあり、

まあ、愛の誓いなのでしょうかね、

そんな約束を交わしたふたりの鍵がね、

ぎっしりとぶら下がっている。

若い人っていいねぇ。


ここからの景色はなかなかで、

遠く伊豆半島から富士山、

眼下には湘南の海岸線が一望できる。

横浜方面はランドマークタワー。

振り返れば、神奈川の丹沢山塊、

北東の方角には東京タワーやスカイツリー、

新宿の高層ビル群も望める。

 

ここは「関東の富士見百景」、「かながわの景勝50選」、

「かながわの花の名所100選」、「かながわ未来遺産100」、

「かながわの公園50選」、「夜景100選」、

「平塚八景」に選ばれているのだけれど、

平日は人も少なく、

ちょっと世間から忘れられた感がある。

 

そういう意味では、

絶景が拝める穴場である。

 

 

湯河原のお湯は熱かった!

 

1.小田原厚木道路の怪

 

小田原厚木道路を慎重に走る。

スピードを控える。

走りやすいのに、ここの制限速度は70キロ。

高速道路ではない。

有料道路。

気をゆるめていると、制限速度をオーバーしてしまう。

と、待ってましたと、どこからともなく覆面パトカー。

即、切符を切られてしまうハメに。

 

この道路の出口は箱根の麓なのだが、

手前2キロくらいからなぜか車線変更禁止だから、

ここも法令順守しないと、やはり即捕まる。

箱根方面に行こうか、伊豆方面はどっちなどと、

ふらふらしていると、痛い目にあいますから…

 

結局、小田原厚木道路って、

むかしからスピードの取り締まりが厳しい。

神奈川県警のドル箱路線として、

全くもって現在も変わっていない。

こっちもやむを得ないときしか使わないけど。

 

2.真鶴道路は景色壮観だけど…

 

さて、箱根の手前で道を海側へと進み、

真鶴道路へ入る。

海が青いなぁ。

白い波が高い。

荒れているぞっと。

 

この先から伊豆半島をぐるっと海岸線沿いに

道は延々と続くのだが、

どうも、早川~真鶴あたりが、

あまり好きじゃない。

箱根の道のほうが圧倒的によくできている。

常に交通量がかなりある道なのに、

来るたびにアスファルトがガタついているし、

道も細くて、整備がイマイチ。

ETCが使えない有料道路もいまだに残っている。

料金所で車がオロオロしているのをたまにみかける。

他府県ナンバーの車に顕著だ。

なんで有料なのか、その意味もよく分からない。

真鶴トンネルの工事代?

普通の海沿いの道なんだけどねぇ。

 

3.湯河原をめざす

 

箱根ではなく、熱海でもなく、

本日めざすは湯河原。

両者の一大観光地に挟まれて影の薄い温泉地だけど、

湯治にはもってこいと誰もが言うからには、

ここのお湯はさぞ良いのだろうと、

でかけてみた。

 

目的の宿は川沿いに建っていた。

立派な外観。

ウェルカムドリンクは冷たいゆずのジュース。

やはりここ湯河原も暑いなぁ。

 

部屋はバリアフリーでインテリアは簡素。

清潔そうな印象。

窓を開け放つと、山が迫っている。

水量の関係か、川の音がほぼ騒音レベル。

うるさい。

程よいせせらぎってなかなか難しいんだと、

再び窓を閉める。

あっ、ここは禁煙なんだ!

 

4.湯河原のお湯は熱かった

 

湯治というのがどうゆうものか、

実はぜんぜん知らない。

しかし、なんかむかしからあこがれがあった。

じじいになったら、湯治にでかけようなどとね。

 

で、夕食の後、期待を胸に、

そそくさと階下の浴場へでかける。

む、誰もいないではないか。

夕食の後に入浴する人っていないんですね。

まあ、どこでも宿に着くとまず風呂です。

どうもそういうことらしい。

しかし、私は馴染めない。

よって、飯の後になってしまう。

 

そういえば前年、

同じく伊豆の稲取にいったときも

夜の11時にホテルの屋上にある

露天風呂にでかけたときも、

私一人だったしなぁ。

あのときは、誰もいないのに、

遠くの湯船に誰かが浸かっている音、

したしなぁ。

あれ不思議。いまでも怖い。

 

で、湯河原の湯だけど、

沸かしていないのに、これがくそ熱いんだわ。

ぬるいお湯しか入れないこちらとしては、

まあ、身体なんか洗ったりして、

徐々に慣らそうと考える。

で、いよいよ足を突っ込んでうーとなり、

次にしゃがんでうーとなり、

肩まで使って限界までチャレンジとなる。

 

こうなるとリラックスとか関係ない。

温泉湯治ではなく、もうひとり我慢大会。

 

きっと数分だったと思う。

一度、立ち上がって脱衣所で水を飲む。

悔しいので、再度浴場へ戻り、

今度は高温のミストサウナ室に入るも、

数秒で出る。

ここは、真夏の炎天下に、

空からお湯が降ってくる。

そんなイメージ?

 

ふん、冗談じゃないよ。

熱中症になってしまうじゃないか。

危ないなぁ、湯治って。

 

この夜は冷房全開、

裸で寝ましたね。

 

 

伊豆の空はきまぐれで

 

行く宛てもなく車でぷらっと出かける。

そういうのって憧れるが、なかなか実現しない。

たまにやってみると、だいたい都会とは反対方向へ行く。

海か山方面。大磯とか秩父とか。

 

がしかし、今回はぷらっとでなく行く宛てがあって、

西湘バイパスを西へ走っている。

小田原でちょっと遠回りをしてターンパイクをのぼり、

十国峠へ。

 

三島のまちと駿河湾が一望です。

そのまま伊豆スカイラインへ入る。

ワインディングロードの連続でちょっと疲れるが、

爽快に走れる。

 

伊豆半島を南下し、海岸沿いへ出る。

今回は、親戚との集まりで東伊豆へ行かねばならない。

ぷらっと、ではない。

 

ムカシは仕事の範疇の旅行が多かった。

旅行も仕事のうちの職業だったので、これはこれで慣れると楽しいが、

なにしろ行く先々でやることが多い。

そんなに浮かれていられない。

事前の下準備に始まり、行く先では取材、撮影、

現地の感想などをメモしたり。

どんなに腹が減っていても、

まず食事はいただく前に撮影、だった。

 

そうしたしがらみを一切取っ払いたいと、

一度、会社を辞めた直後に、

奥さんとあてどない車旅に出かけたことがある。

10日間ほどかけて日本のあちこちをぷらぷらと、

気の向くまま出かけてみた。

宿の予約などもしない。

夜、着いたところで宿を探す。

 

そのときは中央高速を松本でぷらっとおりて、

信州・安曇野の美しい風景を堪能。

戸隠でそばを食べ、さらに道なりに走って新潟の直江津へ。

今度は海岸線を富山方面へと走らせ、能登半島をぐるりと回り、

甘エビをたらふくいただいた。

そして兼六園、東尋坊……と、

とにかく知っているところをテキトーに回り、

暗くなったら宿を取り、

気がついたら関西にいた次第。

 

今回の東伊豆行きだが、

前述したように気まぐれではないので、

時間通りに目的地に着くことが必須。

宛てもなくぷらっと横道に逸れることは厳禁だ。

 

海岸線を南に下って伊東の手前まで来ると、

墨汁のような雲が山を覆っている。

嫌な予感。

トンネルから出口付近を凝視すると、

アンダーグレーの景色。

といきなり豪雨に襲われワイパーが効かない。

前が見えない。

やっと伊東市内の国道へ出ると、道が冠水寸前です。

 

このままだとちょっと危ない。

視界不良のうえ道路の水かさが増し、緊張状態の運転が続く。

途中のどこかでお茶でも飲んで、雨の様子でもみようと思ったが、

時計をみるとかなり遅れている。

仕方なしに走り続ける。

 

やがて伊豆高原あたりまでくると雨も上がり、

真夏の日ざしがきらきらと海を照らしている。

うーん、よく分からない天気だ。

とにかく海も空も広い伊豆。

 

こうして東伊豆町へ夕刻に到着。

間に合いました。

皆でお茶をすすり、雑談。

どうも豪雨に遭ったのは、私たちだけと判明。

(気まぐれな天気め!)

 

宿は、波打ち際というか、海岸から至近の宿。

波の音が素敵、とかでなく、とにかくうるさい。

その分景色がいい。

伊豆七島の大島や他の島もくっきりと見える。

出迎えてくれた宿の方が、

昨日まではどしゃ降りでしたが今日はホントによく晴れて…

お客さんは普段の行いが良いんですね、とお愛想。

 

一人海岸を歩くと、潮をたっぷりと含んだ風が鼻を突く。

釣り人が、荒波に糸を投げている。

カメラを構えて、沖をじっとみている人がいる。

気温はまだ30度を超えているようで、汗がしたたる。

 

(今夜の食事は海の幸づくしだろうなぁ)

そんなことを考え、夕食の場に向かうと、

案の定、とんでもない量の海のものが、惜しげもなく出てきた。

豪勢な刺身盛り、伊勢エビの活きづくり、イカの躍り食い、

かさごのまるごとの天ぷら等々…

アワビの踊り焼きというのも、

私はこの年になって初めてみたのだが、

炭火の網の上でアワビが踊っている様がなんか駄目。

 

とにかく海のスターが総出演のような豪勢な夕食だったが、

こっちは貧乏性で、居酒屋で出てくるセコい刺し盛りとかが、

やはり自分の性に合っているなぁと。

 

露天風呂は屋上。夜の10時に行くも、もう誰もいない。

メインの灯りは消してしまったのだろうか。

わずかな灯りしかない。

ほぼ暗闇で見えない洗い場もある。

4つあると判明した露天風呂を手探りで移動して浸かっていると、

暗闇から、なぜか湯をかける音が聞こえる。

目を凝らしても誰もいない。

これが幾度となく聞こえてきて、

ちょっと何だろうと不安になる。

これがいまだによく分からない。

ちょっと引っかかっている。

 

寝ている間も相変わらず波の音はうるさい訳で、

学生時代の浜辺のキャンプを思い出す。

海に近すぎる宿というのも考えものです。

 

翌日はピーカンの天気で、昼前から気温は軽く30度を超える。

猛暑の中、帰路を横に逸れて、皆で城ヶ崎海岸へ。

暑いなか、あたりを散々歩いたら皆ぐったりしてしまい、

帰ろうかと誰かが言い出す。

売店でかき氷とかアイスを皆でめいっぱい食べ、

そうして一族解散と相成りました。

お役目全うです。

 

こうなると帰りのコースは自由。

海岸線をそのまま熱海方面へ北上するコースが最短だが、

どうも面白くないなと考え、皆と別れて、

再び伊豆スカイラインを駆け上る。

と、山の天気はまたまた気まぐれ。

ここでも酷い豪雨に遭ってしまう。

洗車機に入っているような凄い雨に降られ、

視界がとんでもなく悪い。

道路が川のようになりかけていて、ちょっと焦る。

 

途中、何台かの車も危険を察知したのか、

ハザードランプを付け停車。

不安で考え倦ねているようにも見える。

こちらは、考えた末に走り続けようと決め、

なんとか十国峠まで辿り着く。

そこで嵐が去るのを待つこととし、

ようやくレストランへ逃げ込む。

(今回はどうもついてない)

そんなことを思いながら食事をしていると、

気まぐれな豪雨もいつの間にか去り、

強烈な陽射しが再び山々に降り注いでいる。

遠く静岡の景色がパノラマ状態で見渡せる。

 

とにかく空は気まぐれ。

私より気まぐれ。

このまま箱根の山を越えて御殿場に下り、

富士五湖方面に行こうとしたが、

やはりこの空の機嫌を考慮して、計画取り止め。

一路家路へ着くこととした。

 

ぶらっと旅はやはりなかなか実現しないでいる。

若い頃は、たいしてやることもなかったので、

始終ぷらっと出かけてばかりだったのに。

もっと遠くへ、さらに知らないところへと出かけたいのに、

どうもいつも思うようにいかない。

 

気持ちは若い頃と同じ。

何も変わっていないハズなのに……